R@ndom Scout Vol.4後語り

先日の作品紹介生放送をもってグランドフィナーレとなった阿羅他さん主催の企画「R@ndom Scout Vol.4」
今回は参加者枠の拡大に助けられ、第4回目にして私もようやく初参戦となった。
参加者の担当アイドルをシャッフルし、プロデュースを行う本企画。
私は今回、有栖川夏葉をまさか!さんのもとに送り出し、真壁瑞希佐藤心の両名を寺崎九十九さんからお預かりする運びとなった。

以下、その全記録である。

●お預かりしましたその1:佐藤さん


着手はこちらの方が後だったが、瑞希の方が難航したため、先にこっちが出来上がる。
佐藤さんについては、事前に寺崎さんから「公式から出ているものは一旦無視してもらっていいです」とのオーダー(※だいぶ婉曲的にした表現)を貰っていた。

寺崎さんの過去作とかを見るに「カッコいい」がメインコンセプトだと思われたので、そういう曲を考えてまず思い当たったのが、岸田教団with明星ロケッツの「LIVE MY LIFE」だった。(もともと一度この曲をやってみたいというのもあった)


……直截な物言いで申し訳ないが、アイドルとして女として崖っぷちにあることを分かりながら、それでもこの生き方を選んで悔いはないと言ってのけるところこそが佐藤心のカッコよさだと思う。
そこまで考えたら後は早かった。

静止画MAD的な表現については、素材の面から早々に断念せざるを得なかった。公式で出てるカードにかっこいい絵が殆ど無いのである!許せん!
ならいっそステージ一本でやった方が映えると思い、衣装はデレステの三周年衣装(ネクスト・フロンティア)をチョイスし、コンクリート系のテクスチャ素材を使って「それっぽい感じ」を出すことに腐心した。
Bメロに出てくるテレビの実写素材は寺崎さんから頂いたもの。奇しくも瑞希の方でも使うことになり、今回のランスカにおける私の動画の象徴めいたものになった。

ダンスについては殆どが「共鳴世界の存在論からで、イントロ部分のみ一部「毒茸伝説」を使用している。両曲ともソロでスタンドマイクが映えるのが最大の理由。シンクロについてはタイミング合わせるだけで殆ど調整を入れていない。こういうのがハマると楽。存在論をメインに置いたのは「これが佐藤心流の存在論や!」という熱い気持ちも込めたつもり。

タイトルについては、原曲タイトルである「LIVE MY LIFE」を意識しつつ、レゲエの大家ボブ・マーリー”Love the life you live,Live the life you love.”という言葉から後半部をまるまる借用した。「己の生きる人生を愛せ、己の愛する人生を生きろ」という意味だが、私はこれぞ佐藤心だと思う。(ちなみにこの言葉を知ったのはヒプノシスマイクから……入り口はだいたい変なとこに開いてるものだ)
思いついてから僅か数日で出来上がり、あまり自分が常やらないことをできたので、割と満足感は高い一本になった。こういうのがランスカの醍醐味なのだろうと思う。

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今回のお気に入りカットはこちら。



・お預かりしましたその2:瑞希

今回私をめちゃくちゃ苦しめてくれたのは、意外にもこちらだった。

ミリオンライブには一家言持っている身として瑞希は知らないアイドルではないし、動画作ったこともあるしなんなら初見の印象はシアター組で一番良かったまである。そうした部分の慢心が苦難に繋がった可能性は否定できない。

今なら笑えるのだが、瑞希を引いた当初は勝ちを確信していたまであるし、寺崎さんの過去作を見て素材提供を受け、曲もさっさと決まった。
さらに組み合わせ発表のあった週が明けた月曜には、作業生を行い選曲を発表して実質の宣戦布告を行うふてぶてしさを出す余裕すらあった。(主催の阿羅他さんには「前代未聞」「この人のメンタルやべえ」とまで言われたが当時の私は平然としていた)

 

しかし作業を進めていく中でどうも違和感ばかりが膨らんでいく。
私の中の真壁瑞希感はどちらかというとインザネめいたデジタルな印象が強く、対して寺崎さんの作る瑞希はどちらかというと静かに燃え盛る炎のような印象。どちらかといえば寺崎さんの印象に合わせたく、当初は夏川椎菜の「イエローフラッグを選曲していたのだがこれがどうもうまくいかない。
難航してるうちに赤ペンさんが同じ曲で動画をぶん投げたりしてきて、余計に分からなくなる(しかも出来が良いし勝てないと悟ってしまった)

そんなこんなで佐藤さんの方が先に世に出ることになり、ますます取り残された宿題がのしかかる。
こうなったら曲替えだ!と一旦それまで作ったものを破棄して星野源の「サピエンス」にしてみるも、こちらもイントロ~Aメロあたりを作ったがピンと来ない。
「これはもう佐藤さん出してるし責任は果たしたと見て投了していいか???」みたいな気持ちになっていた頃、主催より会期延長の告知が。
もう一ヶ月猶予ができたことで、逆に「難しいことは考えずいつも通りプラスアルファでやろう!!!」という余裕ができ、これが結局いい方向に転がった。

 

いつも通りに回帰したところで、選曲の方向性は「爽やか系のアニソンで瑞希っぽい要素を含んでるやつ」で考えたところ、fhánaの「What a Wonderful World Lineを思いついた。
爽やかで美しいメロディラインが特徴だが、「世界線」という英語がタイトルに入っているように少々形而上学的SFの香りもあり、なんとなくいけそうな予感がした。
当初は私の一番得意とする「ただの少女がアイドルになって何を得てどう進んできたか」みたいな爽やかキャラクター紹介PVになる予定だった。
しかし私の中のアホが言う。
世界線ってワードあるんだからもうちょいSF要素足してみんか?」
そうして思いついたのが、「Melty Fantasia」のドラマパートで瑞希が演じたアンドロイド・ミズキの要素をそこかしこに入れるというものだった。


「真壁瑞希がアイドルをやっている世界線は、もしかしたらアンドロイドであるミズキがシャットダウンの間際に見ている刹那の夢なのかもしれない」

 

これが今回の基本コンセプトになり、結果あのところどころ不穏な感じの映像に仕上がった。

 

演出等について。
佐藤さんの方では素材とコンセプトの乖離から断念した静止画MAD的表現をこちらでは存分に使っている。特に前述の「アンドロイドの見る夢」というコンセプトの表現として、一瞬入るランダムラスターと色ズレを多用している。
サビのダンスはほぼまるまる「MUSIC JOURNEY」を使用。ここでは色調と衣装選択を変えた同じ曲のMVをところどころ重ねることで、「アイドル・真壁瑞希世界線」と「アンドロイド・ミズキの世界線」の混線を表現したつもり。
これを思いついた時は「私は天才だ」と思ったし、「同じダンスでタイミング合わすだけだし楽じゃん」と慢心していた。ところが実際に合わせてみると何故か動きがズレる。よくよく見てみると、素材録りに使用したiPhoneの画面録画機能の仕様上、録画した動画のfpsがランダムで決定され微妙に異なるということが発覚。
私は激怒した。が、どうにもならなかったので大まかにタイミングを合わせて後はフレーム単位で手調整した。しんどかったが何もアイデアが出てこないしんどさよりはだいぶマシだった。
アウトロは「Melty Fantasia」のソロMVを使用。電源が切れ項垂れるダンスは、アンドロイド・ミズキのいる世界線の終わりか、はたまたそれでもアイドル真壁瑞希のいる世界線は続いていくのか……という不確定要素を込めあのようにした。

とにかくこのように難産だったが、静止画MAD的表現とミリシタMVの共存という王道の構成を、一段上のものにできたことは大きな収穫だったように思う。

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このカットがめちゃくちゃ綺麗にできたので私は満足です。



・送り出しました:夏葉


お預かりする側としては上記のように苦労ばかりが先行したが、送り出す側は気楽なもんである。
今回のランスカは、6人いる担当アイドル(※企画参加表明時の数字)から有栖川夏葉のみを送り出した。
理由は簡単で、私以外の人間が作った夏葉のMADが増えて欲しかったからである。


レンタル先がまさか!さんに決まった時は「これは絶対面白いものになる」という確信があったし、早速手持ちの公式素材をZIPファイルで送りつけるなどした。
その後もまさか!さんがスカウトチケットで夏葉のSSRをお迎えしてTrueコミュをみたりしているのを眺めつつニヤニヤしていた。

そして出来上がってきたのがこちら。
詳しい解説はまさか!さんのブロマガを見て頂くとして、選曲や演出に私の動画っぽさもありながら、まさか!さんの動画らしい心浮き立つような楽しさが加わり素晴らしいものに仕上がっていて感服した。
「自分の動画はこう見えているんだな」「夏葉はこういう人だと思われているんだな」ということが客観視できてめちゃくちゃ面白い経験ができたと思う。


ということで初参加ながら非常に楽しい体験だった。次はやらんと阿羅他さんは言っているが、まぁどうなるかわかりませんよね???(圧)

 

そんなこんなで次はこちらの動画でお会いすることになるかと思います。

そうしてまた、次の進捗が始まるのです。