R@ndom Scout Vol.4後語り

先日の作品紹介生放送をもってグランドフィナーレとなった阿羅他さん主催の企画「R@ndom Scout Vol.4」
今回は参加者枠の拡大に助けられ、第4回目にして私もようやく初参戦となった。
参加者の担当アイドルをシャッフルし、プロデュースを行う本企画。
私は今回、有栖川夏葉をまさか!さんのもとに送り出し、真壁瑞希佐藤心の両名を寺崎九十九さんからお預かりする運びとなった。

以下、その全記録である。

●お預かりしましたその1:佐藤さん


着手はこちらの方が後だったが、瑞希の方が難航したため、先にこっちが出来上がる。
佐藤さんについては、事前に寺崎さんから「公式から出ているものは一旦無視してもらっていいです」とのオーダー(※だいぶ婉曲的にした表現)を貰っていた。

寺崎さんの過去作とかを見るに「カッコいい」がメインコンセプトだと思われたので、そういう曲を考えてまず思い当たったのが、岸田教団with明星ロケッツの「LIVE MY LIFE」だった。(もともと一度この曲をやってみたいというのもあった)


……直截な物言いで申し訳ないが、アイドルとして女として崖っぷちにあることを分かりながら、それでもこの生き方を選んで悔いはないと言ってのけるところこそが佐藤心のカッコよさだと思う。
そこまで考えたら後は早かった。

静止画MAD的な表現については、素材の面から早々に断念せざるを得なかった。公式で出てるカードにかっこいい絵が殆ど無いのである!許せん!
ならいっそステージ一本でやった方が映えると思い、衣装はデレステの三周年衣装(ネクスト・フロンティア)をチョイスし、コンクリート系のテクスチャ素材を使って「それっぽい感じ」を出すことに腐心した。
Bメロに出てくるテレビの実写素材は寺崎さんから頂いたもの。奇しくも瑞希の方でも使うことになり、今回のランスカにおける私の動画の象徴めいたものになった。

ダンスについては殆どが「共鳴世界の存在論からで、イントロ部分のみ一部「毒茸伝説」を使用している。両曲ともソロでスタンドマイクが映えるのが最大の理由。シンクロについてはタイミング合わせるだけで殆ど調整を入れていない。こういうのがハマると楽。存在論をメインに置いたのは「これが佐藤心流の存在論や!」という熱い気持ちも込めたつもり。

タイトルについては、原曲タイトルである「LIVE MY LIFE」を意識しつつ、レゲエの大家ボブ・マーリー”Love the life you live,Live the life you love.”という言葉から後半部をまるまる借用した。「己の生きる人生を愛せ、己の愛する人生を生きろ」という意味だが、私はこれぞ佐藤心だと思う。(ちなみにこの言葉を知ったのはヒプノシスマイクから……入り口はだいたい変なとこに開いてるものだ)
思いついてから僅か数日で出来上がり、あまり自分が常やらないことをできたので、割と満足感は高い一本になった。こういうのがランスカの醍醐味なのだろうと思う。

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今回のお気に入りカットはこちら。



・お預かりしましたその2:瑞希

今回私をめちゃくちゃ苦しめてくれたのは、意外にもこちらだった。

ミリオンライブには一家言持っている身として瑞希は知らないアイドルではないし、動画作ったこともあるしなんなら初見の印象はシアター組で一番良かったまである。そうした部分の慢心が苦難に繋がった可能性は否定できない。

今なら笑えるのだが、瑞希を引いた当初は勝ちを確信していたまであるし、寺崎さんの過去作を見て素材提供を受け、曲もさっさと決まった。
さらに組み合わせ発表のあった週が明けた月曜には、作業生を行い選曲を発表して実質の宣戦布告を行うふてぶてしさを出す余裕すらあった。(主催の阿羅他さんには「前代未聞」「この人のメンタルやべえ」とまで言われたが当時の私は平然としていた)

 

しかし作業を進めていく中でどうも違和感ばかりが膨らんでいく。
私の中の真壁瑞希感はどちらかというとインザネめいたデジタルな印象が強く、対して寺崎さんの作る瑞希はどちらかというと静かに燃え盛る炎のような印象。どちらかといえば寺崎さんの印象に合わせたく、当初は夏川椎菜の「イエローフラッグを選曲していたのだがこれがどうもうまくいかない。
難航してるうちに赤ペンさんが同じ曲で動画をぶん投げたりしてきて、余計に分からなくなる(しかも出来が良いし勝てないと悟ってしまった)

そんなこんなで佐藤さんの方が先に世に出ることになり、ますます取り残された宿題がのしかかる。
こうなったら曲替えだ!と一旦それまで作ったものを破棄して星野源の「サピエンス」にしてみるも、こちらもイントロ~Aメロあたりを作ったがピンと来ない。
「これはもう佐藤さん出してるし責任は果たしたと見て投了していいか???」みたいな気持ちになっていた頃、主催より会期延長の告知が。
もう一ヶ月猶予ができたことで、逆に「難しいことは考えずいつも通りプラスアルファでやろう!!!」という余裕ができ、これが結局いい方向に転がった。

 

いつも通りに回帰したところで、選曲の方向性は「爽やか系のアニソンで瑞希っぽい要素を含んでるやつ」で考えたところ、fhánaの「What a Wonderful World Lineを思いついた。
爽やかで美しいメロディラインが特徴だが、「世界線」という英語がタイトルに入っているように少々形而上学的SFの香りもあり、なんとなくいけそうな予感がした。
当初は私の一番得意とする「ただの少女がアイドルになって何を得てどう進んできたか」みたいな爽やかキャラクター紹介PVになる予定だった。
しかし私の中のアホが言う。
世界線ってワードあるんだからもうちょいSF要素足してみんか?」
そうして思いついたのが、「Melty Fantasia」のドラマパートで瑞希が演じたアンドロイド・ミズキの要素をそこかしこに入れるというものだった。


「真壁瑞希がアイドルをやっている世界線は、もしかしたらアンドロイドであるミズキがシャットダウンの間際に見ている刹那の夢なのかもしれない」

 

これが今回の基本コンセプトになり、結果あのところどころ不穏な感じの映像に仕上がった。

 

演出等について。
佐藤さんの方では素材とコンセプトの乖離から断念した静止画MAD的表現をこちらでは存分に使っている。特に前述の「アンドロイドの見る夢」というコンセプトの表現として、一瞬入るランダムラスターと色ズレを多用している。
サビのダンスはほぼまるまる「MUSIC JOURNEY」を使用。ここでは色調と衣装選択を変えた同じ曲のMVをところどころ重ねることで、「アイドル・真壁瑞希世界線」と「アンドロイド・ミズキの世界線」の混線を表現したつもり。
これを思いついた時は「私は天才だ」と思ったし、「同じダンスでタイミング合わすだけだし楽じゃん」と慢心していた。ところが実際に合わせてみると何故か動きがズレる。よくよく見てみると、素材録りに使用したiPhoneの画面録画機能の仕様上、録画した動画のfpsがランダムで決定され微妙に異なるということが発覚。
私は激怒した。が、どうにもならなかったので大まかにタイミングを合わせて後はフレーム単位で手調整した。しんどかったが何もアイデアが出てこないしんどさよりはだいぶマシだった。
アウトロは「Melty Fantasia」のソロMVを使用。電源が切れ項垂れるダンスは、アンドロイド・ミズキのいる世界線の終わりか、はたまたそれでもアイドル真壁瑞希のいる世界線は続いていくのか……という不確定要素を込めあのようにした。

とにかくこのように難産だったが、静止画MAD的表現とミリシタMVの共存という王道の構成を、一段上のものにできたことは大きな収穫だったように思う。

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このカットがめちゃくちゃ綺麗にできたので私は満足です。



・送り出しました:夏葉


お預かりする側としては上記のように苦労ばかりが先行したが、送り出す側は気楽なもんである。
今回のランスカは、6人いる担当アイドル(※企画参加表明時の数字)から有栖川夏葉のみを送り出した。
理由は簡単で、私以外の人間が作った夏葉のMADが増えて欲しかったからである。


レンタル先がまさか!さんに決まった時は「これは絶対面白いものになる」という確信があったし、早速手持ちの公式素材をZIPファイルで送りつけるなどした。
その後もまさか!さんがスカウトチケットで夏葉のSSRをお迎えしてTrueコミュをみたりしているのを眺めつつニヤニヤしていた。

そして出来上がってきたのがこちら。
詳しい解説はまさか!さんのブロマガを見て頂くとして、選曲や演出に私の動画っぽさもありながら、まさか!さんの動画らしい心浮き立つような楽しさが加わり素晴らしいものに仕上がっていて感服した。
「自分の動画はこう見えているんだな」「夏葉はこういう人だと思われているんだな」ということが客観視できてめちゃくちゃ面白い経験ができたと思う。


ということで初参加ながら非常に楽しい体験だった。次はやらんと阿羅他さんは言っているが、まぁどうなるかわかりませんよね???(圧)

 

そんなこんなで次はこちらの動画でお会いすることになるかと思います。

そうしてまた、次の進捗が始まるのです。

 

注文のくっそ多い料理店(全文)

二千人の若い紳士が、すっかり銀河帝国の兵隊のかたちをして、ぴかぴかするガトリング砲をかついで、白ティラノサウルスのような犬を二千疋つれて、めちゃくちゃ山奥の、木の葉のカッサカサしたとこを、こんなことを云いながら、爆走しておりました。
「ぜんたい、ここらの山は怪しからんね。鳥も獣も百疋も居やがらん。なんでも構わないから、早くタンタンタタンタンタアーンと、やって見たいもんだなあ。」
「鹿のC:0% M:0% Y:100% K:0%な横っ腹なんぞに、二三千発お見舞いもうしたら、ずいぶん痛快だろうねえ。くるっくるくるっくるまわって、それからどたたたたたたっと倒れるだろうねえ。」
 それはめっちゃくちゃ山奥でした。案内してきた専門の鉄砲打ちも、はっちゃめちゃにまごついて、どこかへ行ってしまったくらいのヤベえ山奥でした。
 それに、あんまり山が物凄いので、その白ティラノサウルスのような犬が、二千疋いっしょに脳卒中を起こして、数時間吠って、それから泡を5千リットル吐いて死んでしまいました。
「じつにぼくは、二億四千万円の損害だ」と千人の紳士が、その犬の眼ぶたを、めちゃくちゃかえしてみて言いました。
「ぼくは二兆八百億円の損害だ。」と、もひゃくにんが、くやしそうに、あたまを180度まげて言いました。
 はじめの紳士は、めちゃくちゃ顔いろを悪くして、じっと、もひゃくにんの紳士の、顔つきを見ながら云いました。
「ぼくはもう戻ろうとおもう。」
「さあ、ぼくもちょうどソビエトロシアのように寒くはなったし三秒後に餓死しそうだし戻ろうとおもう。」
「そいじゃ、これで切りあげよう。なあに戻りに、百年前の宿屋で、不死鳥を十億円も買って帰ればいい。」
「兎もでていたねえ。そうすれば結局おんなじこった。では帰ろうじゃないか」
 ところがどうも困ったことは、どっちへ行けば戻れるのか、いっこうにまったく、ぜんぜん見当がつかなくなっていました。
 風がどっどどどどうどと吹いてきて、草は福本伸行作品のようにざわ…ざわ…、木の葉はかっさかさかさかさ、木はごとんごとんごとんごとんと鳴りました。
「どうも餓死しそうだ。さっきから横っ腹が痛くてたまらないんだ。」
「ぼくもそうだ。もう1ミリもあるきたくないな。」
「あるきたくないよ。ああもうめっちゃくちゃ困ったなあ、何か胃が破裂するくらいたべたいなあ。」
「喰べたいもんだなあ」
 二千人の紳士は、森山良子の歌のようにざわわざわわ鳴るすすきの中で、こんなことを云いました。
 その時ふとうしろを見ますと、立派な百軒の西洋造りの家がありました。
 そして玄関には

RESTAURANT
西洋料理店
EVELEST LION HOUSE
エベレスト獅子軒

という札がでていました。
「君、ちょうどいい。ここはこれでめっちゃくちゃ開けてるんだ。入ろうじゃないか」
「おや、こんなとこにおかしいね。しかしとにかく何か食事ができるんだろう」
「もちろんできるさ。看板にそう書いてあるじゃないか」
「はいろうじゃないか。ぼくはもう何か胃が破裂するくらい喰べたくて倒れそうなんだ。」
 二千人は玄関に立ちました。玄関は明度1000%の白い瀬戸の煉瓦で組んで、実に立派なもんです。
 そして硝子の開き戸がたって、そこに七色にひかるゲーミング文字でこう書いてありました。
「どなたもどうかお入りください。決してもう、ほんとうにぜんっぜんご遠慮はありません」
 二千人はそこで、ひどくよろこんで言いました。
「こいつはどうだ、やっぱり世の中はうまくできてるねえ、きょう百日なんぎしたけれど、こんどはこんないいこともある。このうちは料理店だけれどもただでご馳走するんだぜ。」
「どうもそうらしい。決してご遠慮はありませんというのはその意味だ。」
 二千人は戸を押おして、なかへ入りました。そこはすぐ、千メートルくらいある廊下になっていました。その硝子戸の裏側には、ゲーミング文字でこうなっていました。
「ことに、小錦くらい肥ふとったお方や生まれたばかりの若いお方は、東京ディズニーランドエレクトリカルパレード並みに大歓迎いたします」
 二千人は東京ディズニーランドエレクトリカルパレード並みに大歓迎というので、もうめちゃくちゃ大よろこびです。
「君、ぼくらは東京ディズニーランドエレクトリカルパレード並みに大歓迎にあたっているのだ。」
「ぼくらは両方兼ねてるから」
 ずんずんずんずん千メートルくらいある廊下を進んで行きますと、こんどはC:100% M:0% Y:0% K:0% の水いろのペンキ塗りの扉とがありました。
「どうも変な家だ。どうしてこんなに百万も戸があるのだろう。」
「これはロシア式だ。北極ぐらい寒いとこやエベレストみたいな山の中はみんなこうさ。」
 そして二千人はその扉をあけようとしますと、上にC:0% M:0% Y:100% K:0%の黄いろな字でこう書いてありました。
「当軒は注文のくっそ多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」
「4時間待ちの行列ができるぐらいはやってるんだ。こんなエベレストみたいな山の中で。」
「それあそうだ。見たまえ、ニューヨークのくっそ大きな料理屋だってくっそ大通りにはくっそすくないだろう」
 二千人は云いながら、その扉をあけました。するとその裏側に、
「注文はずいぶんくっそ多いでしょうがどうか億々こらえて下さい。」
「これはぜんたいどういうんだ。」千人の紳士は顔をしかめました。
「うん、これはきっと注文があまりにくっそほど多くて支度がめっちゃくちゃ手間取るけれどもごめん下さいと斯ういうことだ。」
「そうだろう。0.000001秒以内にどこか室の中にはいりたいもんだな。」
「そして、エアーズロックくらいクソデカイテーブルに座りたいもんだな。」
 ところがどうもフジロックフェスティバルほどにうるさいことは、また扉が百つありました。そしてそのわきに鏡がかかって、その下には8000メートルくらいある柄のついたブラシが置いてあったのです。
 扉にはR:256 G:0 B:0のクッソ赤い字で、
「お客さまがた、ここで髪を東方仗助くらいきちんとセットして、それからはきものの泥をめっちゃくちゃ念入り落してください。」
と書いてありました。
「これはどうも尤もだ。僕もさっき玄関で、エベレストのなかだとおもって見くびったんだよ」
「作法が茶道の裏千家並に厳しい家だ。きっと国連事務総長並みに偉い人たちが、めっちゃくちゃな頻度で来るんだ。」
 そこで二千人は、きれいに髪をけずって、靴の泥をバカ丁寧に落しました。
 そしたら、どうです。ブラシを板の上に置くや否や、そいつがぼうっとかすんで無くなって、風がどどどどどどっどらえもんっと室の中に入ってきました。
 二千人はびっくりして、互いによりそって、扉をがたがたがたんと開けて、次の室へ入って行きました。早く何かマグマみたいにあっついものでもたべて、エナドリを5百リットル飲んだくらいに元気をつけて置かないと、もうドン引きするくらい途方もないことになってしまうと、二千人とも思ったのでした。
 扉の内側に、また変なことが書いてありました。
「核ミサイルと発射スイッチをここへ置いてください。」
 見ると1cm横に明度0%の黒い台がありました。
「なるほど、核ミサイルを持ってものを食うという法はない。」
「いや、ドナルド・トランプ大統領並に偉いひとが始終来ているんだ。」
 二人は核ミサイルをはずし、ライダーベルトを解いて、それを台の上に置きました。
 また明度0%扉がありました。
「どうかヘルメットと強化外骨格と靴をおとり下さい。」
「どうだ、とるか。」
「仕方ない、とろう。たしかによっぽどえらいひとなんだ。奥に来ているのは」
 二千人はヘルメットと強化外骨格をロンギヌスの槍にかけ、靴をぬいでぺたぺたぺたぺた爆走して扉の中にはいりました。
 扉の裏側には、
「ネクタイピン、カフスボタン、暗視ゴーグル、paypay、その他金物類、ことに尖ったものは、みんなここに置いてください」
と書いてありました。扉の1mm横には黒塗りのご立派様みたいな金庫も、ちゃんと口をガバガバに開けて置いてありました。電子ロックまで添えてあったのです。
「ははあ、何かの料理に原子力発電をつかうと見えるね。金気のものはあぶない。ことに尖ったものはあぶないと斯う云うんだろう。」
「そうだろう。して見ると勘定は帰りにここで払うのだろうか。」
「どうもそうらしい。」
「そうだ。きっと。」
 二千人は暗視ゴーグルをはずしたり、カフスボタンをとったり、みんな金庫のなかに入れて、ぱちんと電子ロックをかけました。
 三千キロほど行きますとまた扉とがあって、その前に硝子の浴槽が百つありました。扉には斯う書いてありました。
「浴槽のなかのクリームを顔や手足にすっかり塗ってください。」
 みるとたしかに浴槽のなかのものは象乳のクリームでした。
「クリームをぬれというのはどういうんだ。」
「これはね、外が北極並みにクソほど寒いだろう。室のなかがあんまりドバイみたいにクッソ暖いとひびがズッタズタにきれるから、その予防なんだ。どうも奥には、よほどえらいひとがきている。こんなとこで、案外ぼくらは、アメリカ大統領と1cm位の距離で接近戦になるかも知れないよ。」
 二千人は浴槽のクリームを、顔に塗って手に塗ってそれから靴下をぬいで足に塗りました。それでもまだ残っていましたから、それは二千人ともめいめいこっそり顔へ塗るふりをしながら胃袋が破裂するくらい喰べました。
 それからめっちゃくちゃ大急ぎで扉をあけますと、その裏側には、
「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか、」
と書いてあって、1mmくらいのクリームの壺がここにも置いてありました。
「そうそう、ぼくは耳には塗らなかった。あぶなく耳にひびを切らすとこだった。ここの主人はじつに用意周到だね。」
「ああ、嫁をいびる小姑みたいに1ミクロン以下の細かいとこまでよく気がつくよ。ところでぼくは早く何か喰べたいんだが、どうも斯う1万キロメートル先まで廊下じゃ仕方ないね。」
 するとすぐその前に次の戸がありました。
「料理はもうすぐできます。
 千五百分とお待たせはいたしません。
 すぐたべられます。
 早くあなたの頭に石油タンクの中の香水をよく振ふりかけてください。」
 そして戸の前には目が潰れそうなくらい金ピカの香水の石油タンクが置いてありました。
 二千人はその香水を、頭へどばどばどばどば振りかけました。
 ところがその香水は、どうも塩酸のような匂いがするのでした。
「この香水はへんに塩酸くさい。どうしたんだろう。」
「まちがえたんだ。クッソしょうもねえ女がインフルエンザでも引いてまちがえて入れたんだ。」
 二千人は扉をあけて中にはいりました。
 扉の裏側には、クッソ大きな字で斯う書いてありました。
「いろいろ注文がくっそ多くてうるさかったでしょう。くっそお気の毒でした。
 もうこれだけです。どうかからだ中に、浴槽の中の塩をたくさんたくさんたーくさんよくもみ込んでください。」
 なるほど古代ローマの公衆浴場のように立派な青い瀬戸の浴槽は置いてありましたが、こんどというこんどは二千人とも心臓が飛び上がるほどぎょっとしてお互にクリームをたくさん塗った顔を見合せました。
「どうもめちゃくちゃおかしいぜ。」
「ぼくもはちゃめちゃおかしいとおもう。」
「くそほど沢山の注文というのは、向うがこっちへ注文してるんだよ。」
「だからさ、西洋料理店というのは、ぼくの考えるところでは、西洋料理を、来た人にたべさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして、食べてやる家うちとこういうことなんだ。これは、その、つ、つ、つ、つ、つ、つつつつっつっつつまり、ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼぼぼぼぼぼぼぼくらが……。」がたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがた、ふるえだしてもうものが言えませんでした。
「その、ぼ、ぼ、ぼぼぼ、ぼぼぼぼぼぼぼぼぼくらが、……うわあ。」がたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたふるえだして、もうものが言えませんでした。
「遁げ……。」がたがたしながら千人の紳士はうしろの戸を押おそうとしましたが、どうです、戸はもう一兆分も動きませんでした。
 奥の方にはまだ一億枚扉があって、大きなかぎ穴が二百万つつき、銀いろのホークとナイフの形が切りだしてあって、
「いや、わざわざくそみたいにご苦労です。
 大へんめちゃくちゃ結構にできました。
 さあさあおなかにおはいりください。」
と書いてありました。おまけにかぎ穴からはきょろきょろ二億つの青い眼玉めだまがこっちをのぞいています。
「うわあ。」がたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがた。
「うわあ。」がたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがた。
 にせんにんはめっちゃくちゃ泣き出しました。
 すると戸の中では、くっそデカイ声でこんなことを云っています。
「だめだよ。もう気がついたよ。塩をもみこまないようだよ。」
「あたりまえさ。ザ・ビッグボスの書きようがまずいんだ。あすこへ、いろいろ注文がくっそ多くてうるさかったでしょう、くっそお気の毒でしたなんて、ゾンビ映画で最初にやられるアホみたいに間抜けたことを書いたもんだ。」
「どっちでもいいよ。どうせぼくらには、骨のカルシウム分子一個も分けて呉くれやしないんだ。」
「それはそうだ。けれどももしここへあいつらがはいって来なかったら、それはぼくらの責任だぜ。」
「呼ぼうか、呼ぼう。おい、お客さん方、早く、0.00000001秒以内にいらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい。お皿も洗ってありますし、菜っ葉ももうよく塩でもみまくって水分を全部飛ばして置きました。あとはあなたがたと、菜っ葉をうまくとりあわせて、明度0%まっ白なお皿にのせるだけです。はやく0.00000001秒以内にいらっしゃい。」
「へい、いらっしゃい、いらっしゃい。それともサラドは阪神ファンにとっての巨人くらいお嫌きらいですか。そんならこれから核の炎を起してフライにしてあげましょうか。とにかくはやくいらっしゃい。」
 二千人はあんまり心を痛めたために、顔がまるでくしゃくしゃの紙屑のようになり、お互にその顔を見合せ、ぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるぶるふるえ、クソみたいな大声で泣きました。
 中ではふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっとわらってまた叫んでいます。
「いらっしゃい、いらっしゃい。そんなにクソみたいに泣いては折角せっかくのクリームが流れるじゃありませんか。へい、ただいま。0.00000001秒以内にもってまいります。さあ、0.00000001秒以内にいらっしゃい。」
「0.00000001秒以内にいらっしゃい。ザ・ビッグボスがもうナフキンをかけて、ナイフをもって、舌なめずりして、お客さま方を待っていられます。」
 二千人は泣いて泣いて泣いて泣いて泣きました。
 そのときうしろからいきなり、
「わん、わん、ぐゎあ。」という声がして、あの白ティラノサウルスのような犬が二千疋、扉を粉微塵に砕いて室の中に飛び込んできました。鍵穴の眼玉はたちまちなくなり、犬どもはううううううううとうなって数百年ほど室の中をくるくるくるくるくるくるくるくるくるくる廻っていましたが、また億声「わん。」と超音波並に高く吠えて、いきなり次の扉に飛びつきました。戸はがたりとひらき、犬どもは吸い込まれるように銀河系の彼方へ飛んでいきました。
 その扉の向うの明度0%のまっくらやみのなかで、
「にゃあお、くゎあ、ごろごろ。」という声がして、それからがさがさがさがさ鳴りました。
 室はけむりのように消え、二千人は北極並みの寒さにぶるぶるふるえて、草の中に立っていました。
 見ると、強化外骨格や靴くつやpaypayやネクタイピンは、あっちの枝にぶらさがったり、こっちの根もとにちらばったりしています。風がどっどどどどうどと吹いてきて、草は福本伸行作品のようにざわ…ざわ…、木の葉はかさかさかさかさ、木はごとんごとんごとんごとんと鳴りました。
 犬がFooooooooooとうなって戻ってきました。
 そしてうしろからは、
「旦那あ、旦那あ、」と叫ぶものがあります。
 二千人は俄かに元気がついて
「おおい、おおい、ここだぞ0.00000001秒以内に来い。」と叫びました。
 鎧兜をかぶった専門の猟師が、サッカー場のピッチをざわざわ分けてやってきました。
 そこで二千人はやっと安心しました。
 そして猟師のもってきた団子をたべ、途中とちゅうで十億円だけ不死鳥を買ってニューヨークに帰りました。
 しかし、さっき一万ぺん紙くずのようになった二千人の顔だけは、ニューヨークに帰っても、マグマにはいっても、もうもとのとおりになおりませんでした。

放クラPのお前もそうじゃないお前も『魔進戦隊キラメイジャー』を観てキラめくビーチブレイバーになれ

よく来たな。俺はハバネロだ。
俺は現在四本ぐらいのMADが目下制作進行中だが、おそらく4月2日のmiroir一周年アニバーサリーに次の動画が上がる。
あと、また色々水面下で拉致されたりしておりこんごコンギョ(攻撃戦)だなんだで色々いそがしくなる。
今はまさに、嵐のまえの静けさといったところだ。

さて。
3月は別れのきせつだ。進学、卒業、就職、異動、移籍、人身売買などなど、人それぞれのじじょうによりさまざまな別れをけいけんするだろう。
しかし、それと同時にいちぶのクラスタにとっては出会いの季節でもある。
そう、新しいスーパー戦隊のはじまるシーズンだ。


『ER-緊急救命室-』やふれんじゅ……だったか?……そういった、いくつもシーズンを重ねるアメリカの連続ドラマとちがい、にほんの特撮ドラマは一年ごとに内容とメンバーをがらりとかえて進行するのがおやくそくだ。
そして3月はあたらしい作品が始まる季節でもある。
2019年は『騎士竜戦隊リュウソウジャー』がアステカめいた蛮族のほこりと突撃精神をもって最後までたたかいぬいた。
そして2020年、われわれの住むチーキュを守護するのは『魔進戦隊キラメイジャー』である。

www.tv-asahi.co.jp

こまごました説明は公式サイトをみてもらうとして、まず俺達が注目するべきは五人のそのカラーである。
というこの爆発せんばかりの五色に、なにかみおぼえがないだろうか。
かんのいいお前はもうきづいているだろう。そのかんはメキシコの荒野を生きぬくためにひつようなものだから誇るといい。
そう、放課後クライマックスガールズだ。

これを読んだお前は、またアイマスぴー特有の実質アイマス論かはいはいワロスワロスと、おもったかもしれない。
だがその思い違いを抱えたままブラウザバックするにはまだすこしはやいから待ってほしい。
メキシコでは焦りや些細な勘違いでスキをみせたやつから死んでいき、コンドルやコヨーテのえさになるからだ。

さて、色がかぶっているだけならメキシコのマフィアが何よりもおそれる『特捜戦隊デカレンジャー』や、そもそもあらゆるスーパー戦隊の祖となった偉大なる『秘密戦隊ゴレンジャー』だってそのカテゴリにいれられる。
だが、キラメイジャーはそれだけではない。
キラメイレッドにへんしんする主人公・熱田充瑠(あつた・じゅうる。ねつりょうの単位である「ジュール」とかけた素晴らしいネーミングであり、これだけで俺はコロナビールで乾杯してウイルスの憂さを晴らすに値するとおもう)は、今回の戦隊で最年少ながらレッドをつとめる。
最年少でレッド……何かおもいださないだろうか。

そう、小宮果穂だ。

果穂は、放課後クライマックスガールズ最年少でありながらりっぱにセンターをつとめ、その勇気とまっすぐな意志のちからは、メンバーのだれもがみとめるところだ。
さらに、この熱田充留を演じるのは小宮璃央さんといい、2002年生まれでメインキャスト陣でも最年少という恐ろしいまでの符合をみせている。
これだけならただのぐうぜんとして片付けてもよいだろう。
だが、1話をみて俺はがくぜんとした。

充瑠いがいの4人は、すでにキラメイジャーとしてヨドンヘイムの侵攻から日々たたかっていることが示唆される。
すばらしいイントロダクションだ。
怪物の侵攻で崩壊とパニックにおちいる街とクラスメイトたちを横目に、充瑠は絵を描くことにむちゅうだ。
そんな彼を、クラスメイトは理解できない異物を見る目をむけ、クソミソにけなして去っていく。
おいやめろ。
おそらくこのブロゴをよんでいるお前たちの多くは、日々をBBQパーティーとアメフトのしあいに明け暮れるのではなく、フィクションと己のイマジネーションを友としてつつまやしかに過ごしてきたことと思う。俺もそうだった。
充瑠のすがたは、そんな過去の俺達を思い出してならない。

そんな充瑠に、フィフス・エレメントのせかいからぬけだしてきたようなプリンセスと熱血ボイスのきょだいなほうせきが手を差し伸べる。
おまえはじぶんの才能を過小評価しているが、その絵をかくちからは、すばらしいものなのだと言う。
俺はこの時点でこみあげるあついものをこらえられなかった。

俺やお前たち、メキシコに生きる日陰の民たちは、おのれのもつ「好き」という感情をひた隠していきてきたこととおもう。
それはさながら、ほしょく者から身を隠すために保護色をはったつさせた昆虫のようだ。
だがどうだ、充瑠の「好き」──絵を描くことと向き合って研ぎ澄まされてきた想像力──キラメンタルは、宝石たちに乗り物としての新たな姿をあたえ、武器の新しい使い方をうみだし、きょだいな敵をうちたおしてみせたではないか。
好きなもののために懸命にうちこめるまっすぐな心のあり方、それこそがキラメンタルだということを、一話にして雄弁に語っている。


そしてこれは奇しくも、アイドル小宮果穂がかかえるテーマともつながってくるのだ。
果穂は、ヒーロー番組を愛する小学六年生の女の子だ。
ここでまた過去とむきあってほしいのだが、小学校高学年ぐらいになるとこういうことをいいだすやつがいなかっただろうか。
「ヒーロー番組なんてまだ見てんのか?ダッセーよなぁ!?」
こういう輩はキラメンタルを失ったヨドンヘイムの尖兵なのでさっさと始末して死体をコンドルの餌にしてしまうのがよい。
特撮さくひんは、多くの子どもたちに愛される一方で、良識(そんなものの存在はメキシコでは役に立たないのだが、かんちがいしている人間はおおい)あるおとなやマセたクソガキからすると「いつか卒業するもの」として認識されているらしい。
果穂も、そうした偏見にさらされてきたことは想像にかたくないし、pSSR「エクストリーム・ブレイク!」ではじっさいにその問題とむきあう果穂の姿が描かれている。
このカードはシャニマスを牛耳るドン・タカヤマとメキシコの麻薬カルテルのゆちゃくにより限定になっているため、いまは手に入れる手段がないのでうかつに薦めることは死を意味する。
なので、ただ俺はそのコミュのスクショを一枚貼ることで回答に替えたいと思う。
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この笑顔を見てくれ。
己の好きなものを好きといえる、その喜び──まさしくキラメンタルに溢れているではないか。
だからこそ俺は、おなじメキシコを戦い抜く仲間である放課後クライマックスガールズのプロデューサーに、キラメイジャーを薦めたい。
放クラP的には個人カラーが同じだったり、最年少レッドだったり、スポーツ万能で緑色担当でスーパーカーに乗り相棒(の声帯)がPのお嬢様だったりと見逃せない要素がおばあちゃんのつくるジャンバラヤなみに山盛りだ。
なんだかエンディングのダンスもビーチブレイバーに合っているようなきがするし。

もちろん、放クラPだけでなく他のユニットのPも、765なり315なり346なり876なり、その他三桁の数字に忠誠をちかったバンデラスたちにも、である。
己の「好き」にまっすぐ向き合うキラメンタルは、どんなにんげん、どんなアイドルにも必要不可欠なものだからだ。
そしてそのキラメンタルこそが、おれたちプロデューサーやアイドルたちを、メキシコのことばで言えば真のバンデラスに――この場にふさわしい言い方をすれば、キラめくビーチブレイバーにしてくれるのだから。


俺が今日言いたかったことは、「今なら第一話が無料で見られるから、始まったばかりの魔進戦隊キラメイジャーにハマるなら今」ということだ。きょうせいはしない。自由意志だ。それがそこなわれてはキラメンタルの輝きがうしなわれてしまう。
だからこそ、俺はお前たちに対するこの問いかけをもってこのブロゴを締めたいと思う。

――キラめきますか?

お前は「涼本あきほ・永井真理子のしぇあはうしゅ」を観て狂え

よくきたな。おれはハバネロだ。
今回も適当なタイトルが思いつかなかったので逆噴射構文にたよることとする。

2020年、世間は東京オリンピックイヤーに期待を膨らませ、おれの周りのプロデューサーは15周年イヤーのスターリットな季節に期待や怨嗟をぶつけたり、ガチャの天井に頭をぶつけたりでとかく忙しい。
そんな中、恐ろしい番組がたんじょうした。
それが涼本あきほ永井真理子のしぇあはうしゅ」だ。
ch.nicovideo.jp


この両名の名は、聖蹟桜ヶ丘という名のメキシコ……コンドルではなく鳩の羽根が舞う地・283プロダクションを舞台にしたゲームアイドルマスターシャイニーカラーズ」をプレイしているものにとってはおなじみのものだろう。
ふたりは「放課後クライマックスガールズ」というユニットでそれぞれ有栖川夏葉西城樹里というアイドルに魂を吹き込みオーバーソウルしている声優(シャーマン)だ。
夏葉と樹里というこの二人は、シャニマスがメキシコの大地にケツァルコアトルのようにおりたってからというもの、対になる存在として鎬を削ってきた。
このあたりの話をするとこのブロゴだけでは紙幅がいくらあってもたりないので、「じゅりなつ」とかでツイッタ検索をするとよい。
さまざまなつよすぎる公式供給と、それに負けまいと妄想を具現化したイラストやテクストがそれこそ山のように見つかる。

なにがいいたいかというと、涼本あきほ永井真理子の両名は公私ともに名タッグであるということだ。
おれはルチャよりもサッカーにくわしいのでこういうたとえを使うが、デルピッポとかリバウドロナウドとか……もしくはおれの好きな組み合わせでいうとシャビ・アロンソとジェラードとか、ふたりはとにかくそういったプリティでキュアキュアな名コンビであることが知られている。
そういったわけで、このふたりがコンビをくんで番組を始めるという告知があったとき、おれたちが住まうじゅりなつの村はおおいに沸き立った。
じゅりなつの村は不定期に大収穫祭が起こるきょだいなトウモロコシばたけのある農村だと思ってくれれば良いが、その時の興奮たるやまさに祭であった。

しかし、村のちえある者たちは発表の時点ですでにこの番組が「ヤバい」ことに気づいていたのである。
涼本・永井の両名がON砲とか極悪同盟に比肩する名コンビであることはすでに述べた。
しかし、このふたり……なんというか、公私ともに名コンビがすぎるのである。
あきねえ(涼本女史の愛称だ)はざんねんなことにSNSの類をやっていないが、ながどん(永井女史の愛称だ)はツイッタを頻繁に更新してくれ、その中に決して低くない確率であきねえの写真がまざっているのだ。
その内容も、「コラボカフェに一緒に行った」という声優らしいものから、「年越しそばを作ってもらって一緒に年を越した」「クリスマスマーケットに行った」などの距離感がメキシコにおける権力者と麻薬カルテル並に近すぎるものまで様々なのである。

そんなじょうきょうで二人だけの番組がはじまったらどうなるか。

第一回から二人のなれそめが語られ、要約すると「第一印象がお互いに良くなかったところからきょりをつめていく」という王道の百合漫画みたいな話を聞かされ、おたがいがおたがいのことを理解しすぎている夫婦のような距離感でトークが展開され(「帰ってくるタイミングに合わせてご飯を作っている」「おたがいにおたがいのメイクをしてみたい」とはなんだ?????)、週3でお泊りをしているというばくだん発言までもが投下された。
これは乾いたメキシコの大地に降り注いだ恵みの雨、というよりも、もはやカリブ海がなだれをうってメキシコに侵食してきたというのがただしい。
そんなわけでわれわれしぇあはうしゅの民(番組の中では「るーむめいちゅ」というなまえで呼ばれる)は第一回にしていちゃいちゃの大海にのまれ青息吐息となった。

その間も公式アカウントは二人の抱くぬいぐるみにサメがあるせいなのかなんなのか知らないが、なんとか陸地にたどりついたわれわれに追撃の手をゆるめなかった。
番組終了後にはきっちりといちゃいちゃ写真を上げ、第二回の放送が近づけば、「心の準備はよろしいでしょうか」とのたまう。


視聴者に心の準備がひつような声優番組とは、なんだ?????
おれたち村の民はいぶかしんだ。
だが、それでも第二回はやってくる。忍空のエンディングテーマのように。

そしてむかえた第二回。
ついにメキシコを侵食したカリブ海は、ガムシロップの原液にみたされた。

完全にカップルがおうちでいちゃいちゃしながらゲームやってるノリでマリオだのカービィだのをやり(あいての膝の上にねころがるんじゃない)
おたよりも「理想の結婚式は?」だの「べすとふれんじゅから彼氏になってしまいました♡」だの甘々といなずまみたいなものが投げ込まれ。
あきねえが風邪をひいた折にながどんが看病しにきてくれた、などという百合漫画のイベントのようなエピソードがひろうされ。

ほか。
「私のご飯美味しいって言ってくれる」
「まりこちゃんはほんとにあたしに甘いと思う」
「わたしはあきねえの泣き顔に弱い」
「実際あきねえと居ると楽しいよ」
「いっつも寝る時くっついてる」

……もう発言をかきだしているだけで胸焼けがする。
おれたちはいったい何を見せられているのだ???

……なにがおそろしいかというと、このふたりのかんけいには一切の「嘘くささ」がないということだ。
おれは「百合えいぎょう」というものの存在は理解している。
女性同士のなかよしイチャイチャをみせることにより、バズ(なぜかウッディはいない)を狙い人気を得ようという商法である。
おれはそういうものを悪しき習慣だとだんじるだけの潔癖さはもちあわせがないし(メキシコにはそんなものは不要だ)、むしろよろこんで摂取するたちだ。
だが、このふたりの様子はもはや「えいぎょう」という言葉を付け加えるにはナチュラルすぎる。
最高級のてんねんの合法ハーブを、カナダの原生林からとってきたメープルシロップにひたし、フランスでしゅぎょうした最高のパティシエがりょうりをした、紛れもない極上の「百合」である。
このブロゴをよんでいるものの中には、なまみの人間にたいしてそうした視点をもつことに抵抗のあるものもいるだろう。
おれもそうしたものについては「本人のめに触れたらどうする」というけねんがないわけではない。
だが、このあっとうてき「甘さ」にひたされた空間のまえでは、そんな理性はシュワルツェネッガーにボコられる三下ていどの役にしかたたない。
じっさい、この甘さにあてられたおれのフォロワーのいくにんかは、その甘さにたえるためのシェルター(メキシコのそとでは「かぎあか」とよぶらしい)を建築するにいたっている。

今日おれがいいたかったことは、まとめるとこうだ。
しぇあはうしゅはひとを狂わせる。
うつくしすぎる百合の花はひとをこわす。
それはまぎれもないじじつである。
ただ、その「狂い」がとんでもなく極上の甘味だとしたらどうか。
それは令和のじだいをむかえたこのニッポンで、真にたいけんするべき最高のエンターテイメントではないだろうか。

これをよんでいるおまえも、もしかくごができたとか、じんせいがつらいとか、そういうことがあったなら、毎月第二月曜日・第四月曜日にはニコニコ生放送をひらき、「涼本あきほ永井真理子のしぇあはうしゅ」を観てみてほしい。
そしてもしその空間に身を浸すことをいとわないのであれば、ぜひるーむめいちゅになってほしいし、なんならチャンネル会員になってふたりの生活をささえる光熱費(ほんとうに放送内でチャンネル会費のことをこう呼んでいたのだ)になってほしい。

そしてどうやら次回はバイノーラルマイクをつかったコーナーがあるらしい。


おれはすでに遺書をしたためた。
来週の月曜夜まで、いきのびてまた会おう。

2019年下半期ニコマス20選

皆様あけましておめでとうございます(くっそ遅い)
2020年もどうぞよろしくお願いいたします(だからくっそ遅い)
……ちゃうねん年明けから進捗に追われたり第一回シャニマス投稿祭の運営が忙しかったり雨宮天さんのライブ行ってたりしたから忙しかったんや工藤……!!

ということでぼやぼやしてたらもう期限が来週に迫っているので20選を提出していくわね(大蛇丸

■基本レギュレーション
・対象動画から20作品以内でセレクトしてブログやマイリスト等で公開
・作者1人つき1作品まで(1P1作。合作・別名義については別カウント)
・選考基準はフリー(お気に入り・埋もれ発掘・テーマに沿って等何でもオッケー)
※選んだ作品にP名あるいは制作者名を添えていただけると集計作業の際に非常に助かります。
ポータルページ(公開準備中)のコメント欄に記事URLを書き込んでエントリー完了です

01.ダンベルと君主論何キロ持てる?OP「いっぱい食べマッスル」/ るぺあさん


安心と信頼のいっぱい食べm@s。いやこんなによくも放クラに似合うネタがあったものだと感心する。
Aメロがめちゃくちゃ好きです。

02.メッチャヤム / ももも味さん


ニチアサ民ならおなじみのCMネタ。発想の勝利。

03.【シャニマス】黛冬優子でワールドイズマイン【手描き】 / 積木さん


選曲がベストマッチ。
冬優子の登場以前はシャニマスにはある種伝統的なツンデレって居なかったのでこういうのが出てくるのは嬉しい。

04.【手描き】放課後クライマックスガールズでダンベル何キロ持てる?OPサビパロ【アイマス】/ tktkさん


基本的に20選の中に同系統のネタはあまり入れないようにしてきたのですが、今回ばかりはその禁を破らせてくれ……!
めちゃくちゃ動くし配役が完璧で良い……

05.千雪ん坊将軍 / メカP


下半期のメカP精力的に作品上げまくりで、どれにするか本気で迷ったんですが(まさに今ホットなビリー・バンバンの人力もありましたし)、一番笑ったこれにしました。「ひひぃん」からの畳み掛けが強すぎる。

06.【疑似m@s】ビル爆破映像と共に聴くアイマス楽曲メドレー【MSC2019Re:】/ あやいずさん


2019下半期のビッグイベントといえばMSCでした。様々な動画が鎬を削り火花散らすイベントに力技全開の疑似で殴り込んだのがこちら。
つい見ちゃうんだよなあ……w

07.【MSC2019Re:単品】どれだけ食べても283カロリー / もじさんP


可愛いイラストとネタの暴力。じつはMSCの大会期間中欠かさず票を入れておりました……

08.【アイマスMAD】ロコナイズドPDCAサイクル / まさか!さん


MSCを席巻した快作。曲に合わせてコミュとダンスと衣装をぶつけるというシンプルながら王道の作り、そしてロコのキャラクターとfruity loveのコミュ内容をマッチさせた内容、パーフェクトです!

09.アイドルマスター 765Pro All Stars「ヒプノシスマイク -Division Battle Anthem-」/ Pボウイ


ヒプマイ、だいぶハマって曲を聞きまくってたのでこうした形で動画にしてくれたことがめちゃくちゃ嬉しいですね。
配役もチーム分けも勘所を押さえていて素晴らしいしなによりカッコいい……!フルお待ちしてます!!!

10.【アレンジ×MAD】SHINY COLORS MEDLEY ~R@diant Wings~【シャニマス】/ てつ(XIAO)さん&ふるのさん


MSC本選でまさかの同組シャニマスネタかぶり、そしてクオリティと密度に圧倒されたヤツ!(大蛇丸
サウンドアレンジも動画も非常にハイレベル。さすがです。

11.ポケットモンスタ・アドバンスジェネレーション / 焼き鮭 さん


タイトルでフェスタ・イルミネーションの動画だって気づくまでに数秒かかりました。相変わらずの鳴き声チョイスが神。ちゃんと聞こえるもんなぁ……w

12.【MMD MV】Transcending The World/ストレイライト【シャニマス】/ 螺旋王P


ハイクオリティなMMDモデルで界隈を牽引する螺旋王P、動画もすごいんだよなぁ……ストレイライトらしい技巧を凝らした表現が光ります。あとキャラクターの表情が本当にそのキャラクターらしくて好きです。

13.「Ambitious Eve」LIVE at アンフィシアター 19人 Short Ver.【MMDシャニマス】/ mobiusP


MMDライブ再現の第一人者mobiusさんはシャニマスでもキレッキレで素晴らしい。1stでのAmbitious Eve初披露の瞬間が鮮やかに蘇ります。
噂ではなんか凄いモーションキャプチャー環境を整えたとかなんとかで、いったいどこまでいくのか……

14.【MV MAD】NEO THEORY FANTASY【シャニマス】 / いをさん


シャニマス公式曲MADならこいつが強い!でお馴染みいをさん、下半期も大活躍でした。エモさを存分にぶち込んだトライアングルも大変好きなのですが、かっこよさと「ユニットロゴをそう使うのか!」という演出にしびれたこちらをチョイスしました。すごい動画はあなたに任せます。

15.【シャニマス音M@Dメドレー】輝け!ヒカリの色とりどりーむ! -Shining Festiv@l Medley We Wing Winning-【合作】/ 合作


音も映像もハイクオリティで、とにかくもう圧巻の一言。笑えるところはアホほど笑えるし、泣けるところはめーっちゃ泣ける。圧倒的な素材量と編集技術に目が行きますが、こりゃ愛がないとやってられんよ……

16.【MAD】メルト【百瀬莉緒】 / ととろP


「セクシーだけど残念美人」な印象が強い莉緒姉に、こんなキュートでストレートなラブソングを合わせる、その発想に負けました。
アイドルの意外性を引き出す、というのはそのアイドルのことをよく見ている人でないと出来ない、と思います。

17.【シャニマス手書きMAD】かほたちがやってきたぞ! /水無瀬 桜花 さん


かわいいの暴力。動画の中に沢山でてくるオノマトペとアイドルの組み合わせが凄く良いです。
5分という長尺にも関わらず飽きずにニコニコして見られちゃう。

18.KYOKO'S BELL / maxup さん


今回も内容が他人事じゃなかった(限定響子ちゃんガチャでだいぶ地獄を見たので)

19.【西城樹里MAD】firefly / santaroさん


樹里の抱えている焦燥とか陰みたいなもの、きっとそれは彼女が走る原動力なんだろうし、だからこそ放クラのみんなやPに救われてるんだなあ、ってことを思う、そんな動画です。

20.やわらか甜花 / 象ちゃんですP


シャニ柱、ネタの引き出し底なしか???


並べてみたらすごいシャニマス率になった。仕方ないね。たぶん次の半期もシャニマスづくしになりそうです。投稿祭あったし……

2019年落ちてよかった沼振り返り

2019年もあと少しで終わろうとしてる。皆様お元気でしょうか。
私は部屋を掃除したり進捗との戦いをジリジリ行ったり、突然公式から供給された推しカプに狂ったりしています。
年内にシャニマス投稿祭のOPが出来上がるかどうか、地味に今夜からの頑張りにかかっています。
……が、とりあえずその前に2019年をまとめておきたいと思ってキーボードを叩いている次第。

今年は気づいたら月刊ぐらいのローテでなにがしかの沼に落ちるという壮絶な日々を贈っていたのですが、その中でも特にやばかったものを振り返っておきたいと思います。

MCUマーベル・シネマティック・ユニバース

GWに合わせて「アベンジャーズ/エンドゲーム」が公開。
めちゃくちゃ盛り上がっているのを横目に、「すげー盛り上がってて気になるけど私アイアンマン1~3とアベンジャーズスパイダーマン・ホームカミングとガーディアンズ・オブ・ギャラクシーしか見てないんだよなぁ」と言ったところ、「ここで見れるよ!」と送られてきたディズニーデラックスのURL。
そして目の前には10連休の広大な自由時間。
「いい機会だ、見よう!」
復習も兼ねて最初の「アイアンマン」から公開順に一日数本ペースで見ていく。たちまち魅せられる私。トニーの不遜な英雄ぶり、キャップの高潔さ、そしてソーの筋肉……中でもお気に入りは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー2」である。笑って泣けて最高すぎるんだが?
そして満を持してGW最終日、意気揚々と映画館に向かった私。
三時間の後、号泣しながら劇場から出てくる私。いや泣くだろあんなん。なんだよあれ。
ちなみにフェーズ3完結作となった「スパイダーマン ファー・フロム・ホーム」も見に行った。もともとトビー・マグワイアのやってたライミ版スパイディが好きだったのだけど、アイアンマンとのつながりが強調されたMCUスパイディも好きだ。ツェッペリンツェッペリンではないのだが)が流れた瞬間に泣いた。大人の事情に翻弄されがちだけど、ピーターは負けずにまっすぐ大きくなってね……

アベンジャーズ/エンドゲーム(吹替版)

アベンジャーズ/エンドゲーム(吹替版)

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Prime Video


■PENGUIN RESERCH

ミリオンライブにも多くの曲提供をしている堀江晶太氏のいるバンド。存在そのものは前から知っていた。
6月、たまたま大学時代の友人がこっちに帰ってきており、「なんばでライブあるんだけど暇なら行かん?」との誘い。
とりあえず行ってみた。
めっちゃアツかった。MCでちょっと泣かされた。「世界最後の日に」「嘘まみれの街で」「WILD BLUE」がめちゃくちゃ刺さった。
気づいたらライブの物販でCD三枚ぐらい買ってた。

8月に出た新しいアルバムも買った。「ゴールド・フィラメント」と「青い灯台」がめっちゃよかった。
10月に神戸で開催されたANIMAX MUSIXでも彼らの歌を聞くことが出来、今回は「WILD BLUE」と「決闘」で全力のコールを打ち込めた。最高だった。来年も関西に来ることがあったら絶対に見に行きたい。

それでも闘う者達へ (通常盤) (特典なし)

それでも闘う者達へ (通常盤) (特典なし)


雨宮天さん(TrySail

たぶん今年最大の沼。
ミリオンライブでほぼ毎年目にしているし、もはや押しも押されぬ売れっ子声優の位置だし、ソロ活動もユニット活動も積極的にやっていることは勿論知っていた。
全てが転変したのはたった一日の出来事だった。
ある日、杏奈Pでナンス推しでトラセの識者であるしょうひらさんに「神戸でTrySailのライブあるんだけど行かない?」と誘われた。
当時そこまで気が向かなかったので「私以外に行きたい人がいるならそっち優先でいいよ」という気のない返事を最初は返したのだが、結局行くことに。
そこで目にしたのは「強い」楽曲の数々と、何よりミリオンライブで見せるクールなパフォーマンスとは違った躍動感あるステージを見せる雨宮天さんの姿。
終演後とりあえず物販で最新のアルバムを買い、しょうひらさんから色々とレクチャーを受ける。
「トラセ初めてだけど天ちゃんが良かった」と一言Twitterにつぶやいたら、CYANGEさんからなぜかDMで飛んでくるお写真の山(しまいにはGoogleドライブで送られてきた)。
中森明菜みたいで「VIPER」がめちゃくちゃカッコよかった!」と言ったら「こういう曲ばっかりやるイベントありますよ!」と送られてくるリサイタルの情報。そして三才駅さんから飛んできた「リサイタルのチケット余ってますよ」との一言。

かくて趨勢はここに決した。
その日の帰りにTrySailと天ちゃんの既存のアルバムを全部ツタヤで借りてしばらく聴き倒した。
「VIPER」も抜かり無く買ってMVのカッコよさに死んだ。
大阪で行われた「音楽で奏でるリサイタル」をど真ん中前から10番目くらいの良席で拝んで死んだ(死に過ぎでは?)
ワンマンライブをやるとの報にTrySailのファンクラブに入り見事両日のチケットを掴んだ。
Kindleでセールしてたから「雨宮天の有頂天・纏」を買った
誕生日に写真集「10looks」とライブの円盤を入れた欲しい物リストを公開したらフォロワーから贈られてきた。
先日発売されたオールハワイロケによる写真集「High Tension!」もバッチリ予約して買った。
そしていよいよ来月には幕張でワンマンライブが控えている。

……改めて書くと落ち方が急激すぎて自分でもちょっと引くなコレ……
なんというか冷静になってみるとたしかに声もビジュアルもめちゃくちゃ好みであり、むしろなんでいままでハマってなかった?という感が強い。たぶん来年も色々あると思うのでこのペースで死ぬと思います。

雨宮天写真集 High Tension!

雨宮天写真集 High Tension!


鬼滅の刃

アニメがめちゃくちゃ好評らしい、ということだけは聞き及んでいた。
それと時を同じくして、竹をくわえた女の子のイラストがちょこちょことTwitterで流れてくるようになり、「なんであの子は鍵善良房の竹羊羹をくわえているの?」と呟いたら送られてきたアマゾンプライムのURL(この辺りでだいぶパターン化してきた)。
とりあえず一話から見始める。
いきなり悲劇が起こってCV櫻井孝宏がキレる。でもこの櫻井孝宏厳しいこと言ってるけど内心めっちゃ同情してない???
岩をちょん切って免許皆伝、最終試練に行けば腕がたくさん生えた子安が元号変わってるのにビビる(この辺り現実ともシンクロしてて超笑った)。バトルシーンが超かっこいい。
この辺りで原作をKindleで買って読み始めた。ページをスクロールする手が止まらない。
善逸、めちゃくちゃ好きなタイプのキャラ。師匠のセリフで泣く。
そんでもってしのぶさん。CV早見沙織の優しそうだけど棘のあるお姉さん。最高か?アニメの放映に追いついてからはしのぶさんが出るたびに狂っていた。
そして煉獄さん。煉獄さんである。無限列車編はアホみたいに泣いた。高潔で豪快で強くてかっこいい。
甘露寺さんもほわほわしてるのに強いお姉さんでめっちゃ好き。煉獄さんと甘露寺さんがかつては師弟の間柄だったと聞いてクソほど納得した。
最終回で無限列車編が劇場版になると聞いて拍手喝采した。
単行本派なので本誌追ってる人が毎週死んでるの見てすげー怖い。
あと無惨様がネット民のおもちゃにされすぎててちょっと笑う。
……たぶん遠からずお話が畳まれるのだと思うけれど、これからも楽しみ。とりあえず紅白でLISAが出るところは見ます。

鬼滅の刃 コミック 1-18巻セット

鬼滅の刃 コミック 1-18巻セット


十二国記シリーズ

ことし18年ぶりの新作刊行ということで、書店でもTwitterでも話題に。
「有名なシリーズだけどそういえば読んだことないや」とTwitterで言ったら、フォロワーたちから押す声が多々届く(やっぱりパターン化してるじゃねえか)。
じゃあとりあえず一巻だけと思って「月の影 影の海」を購入。
……めっちゃ面白いがな。
中華っぽい世界をベースにした、馴染みがあるようでまったく我々の世界とは異なる世界観。
王と麒麟の関係性を軸に、「王とはなにか、理想の国とはなにか」をシビアに突きつけるテーマ性。
そして個性豊かなキャラクターたち。
10月に手を出して、気づいたら2ヶ月ほどでシリーズ全巻を読破。
お気に入りは主人公・珠晶のキャラクターがとても魅力的な「図南の翼」、王になった陽子をメインに、慶国の内乱を経て三人の少女がそれぞれの在り方を見つめ直す「風の万里 黎明の空」あたりだろうか。
王を選ぶ麒麟の視点から描かれる「風の海 迷宮の岸」なんかも、担当アイドルを選ぶPとしての視点に重なる部分もあり大変面白く読めた。お気に入りキャラは前述の珠晶と、優しいけど現実主義者でモフモフな半獣・楽俊、破天荒な延王・尚隆あたり。

作中でたびたび「王とは希望の象徴である」ことが語られるけど、オタクにとって面白い作品の存在こそが希望の象徴だな、ということを改めて思い知った読書体験だった。

図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)

図南の翼 (となんのつばさ) 十二国記 6 (新潮文庫)

  • 作者:小野 不由美
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/09/28
  • メディア: 文庫


■久川颯(miroir)

シンデレラガールズに実装された新しいアイドル。
そして、私の6人目の担当アイドル。

……正直実装当時のことはあまり記憶にない。
1月にPaletteのイベントを終えてから、しばらくシンデレラガールズとは疎遠になっていたため。
そしてその前のVelvet Roseに対する風当たりがめちゃくちゃ強くて、よくない流れを引きずったまま色々な毀誉褒貶がぶつかり合う状況のデレ界隈に辟易していたため、おそらく当時の私が意図的に見ないようにしていた可能性もある。
その後は時折流れてくる情報から、「双子の片割れの凪というやつが面白キャラらしい」という程度の認識だけはあった。
ともあれ、実装から半年も経って秋も深まった11月。
響子ちゃんが出るデレ7thライブ京セラドーム公演への参加が決まった私は、とりあえずデレステで聞ける曲は触れておこうと未プレイで積もっていた過去の楽曲を掘っていた。
そこで出会ってしまったのである。「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」という曲に。
ポップなメロディラインに押韻の技巧を凝らした歌詞。あっという間に虜になった。
とりあえずiTunesで楽曲を買った。
ちょうどスカウトチケット販売の時期にかぶっていたため、いつぞやの無料10連で凪のSSRが手元に居たので颯をお迎えした。
SSR衣装で「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」を踊らせる。カワイイ(ブロリー
可愛さのあまり「この二人にPと接するときだけは私も可愛いお姉さんになりたい」とか言い出す。だいぶ限界。
O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!のイベントコミュも見る。
そこには何者でもなかった女の子が、己の可能性を信じてアイドルになっていく過程が描かれていた。この時点でもうダメ。

当初は凪のエキセントリックなキャラクターが強いな、と思っていた。
が、二人を色んな曲で踊らせるうちに、どうも私の目が行くのは颯の方だ、ということに気づく。何故。

答 え は 得 た
だいたいうちの担当アイドルはキラキラワクワクに不敵さをにじませる眼差しをするのだけれど、なるほどこの子も同類だったか、という納得。
そんでもってモバマスの方のクリスマスのテキストで完全にやられ、かくて担当アイドルがひとり増えることになった。
ちなみに颯役の長江里加さんが登板する7th幕張初日アンコール上映のLVチケットも既に入手済み。
まさか自分が1ブランドに複数担当アイドルを持つとは思いもしなかったけど、いつだって現実は想像を凌駕するのだな……

O-Ku-Ri-Mo-No Sunday! (M@STER VERSION)

O-Ku-Ri-Mo-No Sunday! (M@STER VERSION)

  • 発売日: 2019/04/16
  • メディア: MP3 ダウンロード



というわけで今年の沼振り返りでした。
この他、引き続きミリシタもシャニマスFGOもだいぶやってるし、みっくのことも相変わらず追いかけているので今年はお財布がめちゃくちゃ大変なことになってしまった。
来年はもう少し平和に過ごしたいのだが、はてさてどうなることやら。

お前まだスカイウォーカーの夜明けてないの???あるいは「選択と継承」の物語としてのスター・ウォーズ

のっけからクソみたいな煽りタイトルで本当に申し訳ない。
さて、ついにスター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け』が全銀河で封切りになった。
今頃タトゥイーンの映画館ではチケット売り場に長蛇の列が出来ているだろうし、クリンゴンでもワールドプレミアが行われレッドカーペットをウォーフ将軍が歩き、惑星シマーバラではカーニバルもついでに開かれていたりすると思う。私はそう信じる。

おそらくこれから沢山の感想が電子の海を駆け巡るだろう。賛否も様々あるだろう。だが、私は初日に見て完全にやられた人間としてここに賛歌を書き散らしておきたいと思う。

前作『最後のジェダイ』があまりにも悪い方向に観客の期待を裏切りまくる構成だったため、正直私はぜんっぜん期待していなかった。
正直今日の夕方まで親しい友人の葬式に行く気分だった。
1999年の夏、祖父に連れられて見に行った『ファントム・メナス』から始まったスター・ウォーズとの付き合いも、20年の時を経て遂に切れる時が来るのではないかと思っていたし、なんならキレるだけなら前作の時にキレてた。
あの時は怒りのあまり我を失ってたしもう完全にダークサイドだった。ライトセーバーは真っ赤に染まってたし鼻息だけでコーホーコーホー言ってた。
きっと、今回もEP3で溶岩流に落ちたあと救助されてマスクつけられたときのアナキンみたいにキレ散らかす羽目になるのだろうと思っていた。
だが、それらはすべて良い方向に裏切られた。
『スカイウォーカーの夜明け』、最高だと思った。
『最後のジェダイ』で発生した、エスポワール号に乗り込み大金を手にしなければ返せないようなとんでもない負債──ほんとあの無意味に出てくるデル・トロとかフィンを寝取るブサイクとか、なによりしょうもない内輪もめで壊滅するレジスタンスとか──そういったもののマイナスをきっちり生産して尚お釣りが来る……それだけの価値ある一本に、『スカイウォーカーの夜明け』はなったと思うのだ。
そして私はライトサイドに帰還した。皇帝と一緒に『最後のジェダイ』を見たときの怒りの感情も全て、宇宙に投げ捨てた。

先だって地上波で流れた『最後のジェダイ』にブチ切れているそこの貴方。
そういう人こそ『スカイウォーカーの夜明け』を体験して欲しい。ここに公式サイトのURL貼っとくからお近くの劇場を探してとっとと夜明けて来たら良いと思う。
starwars.disney.co.jp


まあ、合う合わないはあると思うので損はさせない、とまでは言えないけど(弱気)


さて、ここからはネタバレを多分に含むので見てない人(たぶん記事書いてるタイミング的に大多数がそうだろ、と思うのだが)はバック推奨。
もう「俺はスカイウォーカーの夜明けたぜ!!」(何だそのミーム?!)って人は続きを読めばいいと思う。
あえてネタバレ踏んでから見るかどうか判断したい、というひとはお母さんもう知らないから好きにしなさい!!!














■「選ばれしもの」から「選びしもの」へ

いやもうこれに尽きるのである!!!!!!!
というかもうこの話がしたくてコレ書いてるので、たぶんこの話しかしないのでごめんな……

のっけから全力でネタバレするけど(そういう記事だ許して)、今作でレイの出自が明かされる。
なんと皇帝パルパティーンの孫娘だったのである!!!
正直最初は「は??????」ってなった。
「だってお前前作で家族に捨てられた何の変哲もない可愛そうな孤児みたいなこと言われてたやん????」と思わずツッコミもした。
ただ同時に「あーーーーーだからカイロ・レンくんは熱心にレイのことダークサイドに勧誘してたのね!!ただの童貞のクソデカ感情じゃなかったのね!!」という納得もあった。


あともう一人唐突に出自が明かされる人が居まーーーす!!
それは前作でただのダメロンさんになってしまったポー・ダメロン。
彼はレジスタンスに入る前は辺境の惑星でスパイスの運び屋をしていたのである。うん、なんかどっかで聞いた経歴だね。

それが分かった時のフィンとポーのやりとりが最高である。

「スパイスの運び屋とはね……www」
「お前だってトルーパーだっただろw」

この男子中学生みたいなやりとり、二人の関係性を表していて結構好きなんだが、ただそれだけではないエモポイントが詰まっている。
そう、出自や経歴はどうあれ、二人は今、打倒ファースト・オーダーを掲げレジスタンスになることを選び、同志として戦っている。
「出自ではなく何を選択するかが大事だ」というメッセージは、もう前半のこのシーンで実は伏線として埋められている。


そして中盤、かつてデス・スターⅡが落ちたエンドアの地でカイロ・レンと対峙したレイは、レイアの助力を得てついに彼に刃を突き立てることに成功する。
しかし、そこでレイは彼の表情を見て取ると、己がライトセーバーで貫いたカイロ・レンの傷をフォースで治癒するのである。
この瞬間に、私は『ジェダイの帰還』で「父さんは殺せない」とライトセーバーを置くルークの姿を幻視していた。
そして畳み掛けるように、カイロ・レンの前に現れるハン・ソロの幻覚。
父親の幻覚に対し、カイロ・レン――いや、ベン・ソロは「やるべきことは分かってるのに出来る自身がないんだ」と嘆くのだが、それに対するハン・ソロの返答が「お前なら出来る。知ってるさ」なのである!!!!
ここでそんな名台詞を突っ込んでくるなや!!!!泣くだろ!!!!!実際アホみたいに泣いたが!!!!!!!
……突然興奮する患者みたいになってしまって済まない。


そして皇帝vsレイの対決シーン、もうあまりにもスケールがでかすぎて何が何やらなんだけれど、(フォース・ライトニングで艦隊をめちゃくちゃにするな)ここには今作のもう一つのテーマである「継承」が込められている。
「私がシスの全てだ」とうそぶく皇帝の前に、一度は力尽きるレイ。
しかし彼女を立ち上がらせたのは、ルークを始めとする歴代ジェダイ・マスターの呼びかけ。
そして、ルークとレイア、それぞれから継承したライトセーバーの二刀流で「私がジェダイの全てだ!!!!!!!!」と叫びながら皇帝を文字通り打ち砕くのである。
あまりにアツくてうっかり映画館で外人四コマ並のガッツポーズをしていた。
……スター・ウォーズの設定に詳しい方はご存知だと思うが、シスの暗黒卿の継承は、師匠を殺害することで完成する。そしてシスの伝統は常に師匠一人弟子一人。すなわち、シスは常に孤高の存在なのだ。
一方でジェダイは連綿と受け継がれる師弟の関係が存在する。かのジェダイマスター、ヨーダを源流にヨーダ→ドゥークー伯爵→クワイ=ガン・ジン→オビ=ワン→アナキン/ルーク→レイと連なる系譜が確かに存在するのだが、どいつもこいつも弟子の育成に失敗している。(ダメじゃん……)
それでもレイには受け取ってきたもの、積み重なってきたものの重みーーレジスタンスに与することを選んだ重み、ルークに導かれジェダイになることを選んだ重み、ベン・ソロを殺さず生かし、ダークサイドではなくライトサイドを選択した重みが、それぞれ2本のライトセーバーに乗っているのだ。
とにかくフィクションの世界ではクソ重いものを背負うことを選び、それでも折れなかったやつが強者である。だからレイは勝つ。皇帝の力には孤独と猜疑と私利私欲しか乗っていないからだ。
背負うこと、受け継ぐことを選び取った勇者は何よりも強い。
だから勝つ。
物語の論理として、そこが一切ぶれていない。
だからすごくよかった、と私は思うのだ。

そして何より、決戦後のシーンが最高なのである。
それぞれの戦いを終え、勝利を祝い抱き合うレイとポー、フィンの三人。
いやもう『フォースの覚醒』のこの三人の関係性が絶妙だったからこそこの三部作の希望を信じてた所あるし、これが見れて本当に良かった……。
その歓喜の輪を眺めながら、ランド・カルリジアンと元ストームトルーパーのレジスタンス・ジャナがこんな会話を交す。
「私の故郷は……分からないんです」
「だったら、探しに行かなきゃな」

これ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
故郷とは産まれた場所のことではなく、居たいと思える場所、帰りたいと思える場所なのである。
それを知ってか知らずか、パルパティーンおじいちゃんも孫であるレイの前でレジスタンスの艦隊を蹂躙しながら「お前の新しい家族は失われる」なんて言っちゃうのである。おじいちゃんなんだかんだで孫に甘くない???
それは冗談として、そういうこと考えるとパルパティーンの対決後に命を落としたベンとレイアが、全く同時にフォースと霊体化して消えるところも、「やっとベンくんはお母さんのと一緒に帰れたんだね……」と思えて泣けてくる。

そしてそして、今作の白眉はなんといってもラストシーン。
タトゥイーンにレイアとルークのライトセーバーを埋めるレイ。
そして自分で作ったと思しきライトセーバーを取り出し、その刃を眺めていると、現れた老婦人に名を聞かれた彼女は、こう答えるのだ。
「私はレイ──レイ・スカイウォーカー」

ここ!!!!!!!!!!!背後に朝焼けが見えるのも含めてあまりにもきれい過ぎるタイトル回収!!!!!!!!!!!!
血筋である「パルパティーン」ではなく、レジスタンスを率いてきたレイアと、ジェダイとしてのあり方を示してくれたルークの姓である「スカイウォーカー」を名乗る──血筋に定められた在り方ではなく、自分の在り方を自分の意志で選び取ったことが確かに伺える名シーンだと思う。
これが見れただけで、種々様々の負債を返済してお釣りが来るし心底最高だと思う。

思えば、アナキン・スカイウォーカーは運命と状況に振り回された存在だった。
奴隷として産まれ、フォースに調和をもたらす者と呼ばれてジェダイになったものの、愛するパドメの死を予見し恐れのあまり皇帝に接近しダークサイドに落ちた。
彼の前半生には、生まれ持った状況や資質により引き起こされたどうしようもないこと、そうするしかないという選択の余地がない状況が、あまりにも多すぎたように思える。
そんな彼を救い、ライトサイドに引き戻したのが、自らの意志でタトゥイーンを飛び出し、時には無鉄砲さで失敗もし、ヨーダに「我慢のない子」とまで言われたルークだったのは象徴的だと思う。
ダース・ベイダーを殺すのではなく、父アナキン・スカイウォーカーを救うというあの「選択」こそが、ルーク・スカイウォーカーの真価だと思っている。

だからこそレイが、パルパティーンの孫娘という「血」ではなく、自らが選び取った「絆」によって、帰るべき場所と名乗るべき名前を得たことが、一層エモく見えるのだろうな、と思う。
スター・ウォーズは確かにスカイウォーカー家の物語である。
ただ、もはやその家系図は血統ではなく、選択によって繋がれることになった。
ついに「選ばれしもの」ではなく、「選びしもの」がフォースに調和をもたらす時がきたのだ。

ここまで褒めちぎっては来たけれど、ぶっちゃけた話、『フォースの覚醒』に始まる三部作は過去の遺産に頼りすぎだろ、と思う面もある。その割にハン・ソロもルークも殺すし過去の遺産に無頓着過ぎねえか???とも思うのだ。思うのだけど、それらは全て「継承」というテーマに帰結させたら最高の舞台装置だとも思えてくるから不思議。
そしてまた、本当の意味で「全て」を継承することもできないのも事実。悪しき因習は置いていかなければならない。血統主義も、代わり映えのしないデザインのスター・デストロイヤーも、お前いいかげんに飽きろやってレベルで黒幕やり続けた皇帝も。

だからこその「夜明け」であり、新しい時代の幕開けを見た、そんな風に思う。

とりあえず、「クソネズミどもにスター・ウォーズの利権売ったルーカスどうかしてるぜ!!EP3でパルパティーンに非常大権を与える提案したジャージャー・ビンクス並の愚行だわ!!」とかJ・J・エイブラムスとかいう過大評価されてるクソオタクの撮ったオナニー」とか思っていたことを謝罪しておきたいと思います。本当にごめんなさい。
でももう続編はいらないかなって気分だったりする!!!!!!!!!!!