矢澤にこというキャラクターの持つ魅力、または私は如何にして心配するのをやめてにこ先輩を愛するようになったか

にっこにっこにー!ハバネロです。
さて、バンダイチャンネルも含めて『ラブライブ!』13話の放送がひと通り終了した訳ですが、皆様どんな感想を抱いたでしょうか。

Notes of School idol days

Notes of School idol days

僕としては、合格点というか着地すべきところに着地した、良い最終回であったと思います。
「やりたいことは何?」からさらに踏み込んで、「やりたいことのために他人を巻き込むことを恐れるなかれ」というテーマにまで持っていったのには思わず「おお……」と唸ってしまいました。
そして流れた『START:DASH!!』の9人バージョン。もう画面の中の穂乃果パパばりに男泣きでした。

……でも今回の話はそれが本題じゃありません!!
前回前々回ともに物語的な部分にしか話が至らなかったので、僕が最も語っておかねばならないことが抜け落ちていました。
ということで、今回は矢澤にこというキャラクターの魅力について熱く語って行きたいと思います。

矢澤にこの魅力に気づくまでの道。


にこ先輩の魅力はなんだっけ?

アニメ全話を見終えた段階でこの問いかけをすると、「アイドルに対する真っ直ぐな気持ち」と答える人が多そうなイメージ。
とくに13話のにこ先輩はまさしく「先輩」と呼ぶに相応しい、大好きなアイドル活動に対して真摯に打ち込む姿を見せてくれたと思います。矢澤 is GOD。
しかし、アニメ本編で初登場した時は「いきなり解散しろとか何やこいつ!?」とか「おいおい頭にウンコ乗せてやがるぜ……バビロン神拳の伝承者か何か?」「矢澤はネタキャラ、はっきりわかんだね」とか思ってた人が多いんじゃあないでしょうか。
僕もそうでした。

三話まで見た段階では、「あぁ^〜ことりちゃんの声で脳味噌とろけるんじゃ^〜」って恍惚としてましたし、凛ちゃんが登場してからは「ボーイッシュ枠キタコレ!」と歓喜に震えておりました。
五話で本格的ににこ先輩のキャラクターが明らかになってからも「にっこにっこにー!」については「素材化待ったなし」と思ってたし、キャラ作りの重要性を説くシーンでは、「なるほど、先輩だし後輩に対してプロデューサー的な役割を担っていくんかね……」とかぼんやり考えたぐらいでした。
黒髪ツインテ低身長と、ビジュアル的な要素が僕の好みにあんまりかすらなかったのは否めないですね。

そんな僕にとっての転換点がどこにあったのかというと、ベストアルバム聞いたのが大きかったですね。

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やっぱり『Snow halation』は大正義感あるよな、とか『Love marginal』はどう聞いてもガンダムのOPっぽいよな、とか取り留めもないことを思いながら聞いてたわけですが、Disc2の7曲目を聞いた時に衝撃が。「なんだこのメロディーライン……懐かしい……!」
飛び込んできたのはモンゴル800とかロードオブメジャーを彷彿とさせるようなギターのメロディ。
そしてその歌詞は、にこ先輩のアイドルとしてのあり方そのものを歌っていました。
「おお……おお……」
となんか声にならない感嘆を漏らす僕。一人でいる時で本当に良かった。

ということで、僕がにこ先輩派に転んだのは、どんなシーンよりも、言葉よりも雄弁に「誰かを笑顔にするためのアイドル・矢澤にこ」のあり方を歌った名曲「まほうつかいはじめました!」の存在があったからということになります。
さらに言えば、ラブライブの各キャラクターのソロ曲は「キャラクターのパーソナリティ」によった歌詞世界を意識して作られているのを感じられたこと、がこの作品に入れ込むきっかけであるとも言えるでしょう。
この辺アイマスと比較するとけっこう面白い所で、アイマスのソロ曲は「そのアイドルのための曲」ではあっても、アイドルの内面やあり方を深く描写する「キャラクターソング」としての側面はラブライブほど強くないんですよね。勿論、アイマスで全くそのへんに言及が無いというわけではありませんが、ラブライブの曲はアイマスよりややキャラクターに踏み込んでソロ曲を書いてるな、という印象は受けました。
たぶんキャラクターのパーソナリティーにダイレクトに触れられる「ゲーム」という媒体の有無が大きいんじゃないかと思うんですが、あまり深く突っ込むと本筋から外れるのでこのへんに留めておきます。

かくて、にこ先輩の持つ真っ直ぐさに触れてその魅力を悟ったことにより、Twitterのアイコンはにこ先輩になるし、iPhoneのホーム画面はにこ先輩になるし、毎週にこりんぱな聞かないと頭おかしくなって死にそうになるし、という素晴らしい日々を送ることになったのでした(にっこり)

乙女式れんあい塾

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アニメから見えてくるにこ先輩の魅力を振り返る。

そんなわけで、矢澤にこはネタキャラではない、むしろ一番ガチでアイドル活動に臨んでいるのだ」という認識を持ってアニメを見ると、全然今までと違ったものが見えてきました。
そのタイミングでニコ生での振り返り放送があったのも大きかったですね。
そうやってにこ先輩にフォーカスしつつ各話を見ていくと、「アイドルをやること」に対する熱意を持ったキャラクターであるということがハッキリと見えて来ました。

また、その設定がアイドルを離れた時の素の姿が魅力的に見えるという相乗効果をも生み出しているんですよね。
例えば普段の時の顔芸ネタキャラっぷりも、アイドルとして「笑顔を届ける」という使命に真っ直ぐな姿とのギャップでめちゃくちゃ魅力的に見えてきてしまう不思議。ギャップ萌え万歳!
第9話で自分たちのグッズに感極まっている時とか、各所で見せる野獣の眼光とか、6話のゲスい表情とかくるくる変わる表情見てると、にこ先輩は本来表情も感情も豊かなキャラクターなのだと言うことがわかります。
だけどアイドルとしては、ファンを笑顔にすること、そのために常に笑顔であることを心がけているという真っ直ぐさ。
ネタキャラとしての面を持ちつつも、ブレない軸をきっちり持ったその姿。
というか、自分の素のキャラがネタとして扱われていることすら「それで誰かが笑顔になるのなら」と受け入れていそう。

だとしたら本当に、にこ先輩はつよい(確信)。

かつてスクールアイドルを立ち上げたものの上手くいかず、一人でアイドル研究部を守ってきた、その姿にも感じる部分があります。
彼女は挫折を経験しながらも、「アイドルでありたい」という大事な夢をずっと守ってきたキャラクターなのです。
だから既に覚悟をきっちり固めている。
ストーリー終盤の穂乃果の葛藤に対してもふざけるなと一括し、アイドルを続けると宣言してみせる「強さ」があります。
アニメのテーマである「やりたいことは何?」という問いに対して、最初から最後まで真っ直ぐに自分のポリシーを持っているその姿は、最後に迷いを見せた穂乃果とは好対照だった、と言っていいでしょう。

また、最終話で示された「やりたいことのために他人を巻き込むこと」を更に踏み込んだテーマとして考えていくと、にこ先輩の立ち位置がより一層深みを増してくる様な気がします。
自らが立ち上げたアイドル研究部とは別に、スクールアイドルを始めた穂乃果たちに対して、最初は敵対する態度をとっていたにこ先輩。自分一人だけが部に残ったという過去と合わせて考えると、彼女もまた「誰かをやりたいことに巻き込むこと」に対して抵抗があった、と言えるのではないでしょうか。
その葛藤は穂乃果たちの方から積極的に歩み寄って来られたことでなし崩し的に打破されてしまった訳ですが。
そう考えると、メイン回で全部この作品のテーマ的な部分を消化してしまっているので、あとは圧倒的なキャラクター強度で立っていられたのも納得かな、と。

あと、歩み寄りのきっかけが「部長/先輩」として扱われたところ、っていうのも良いですね。
おそらく、ずっと一人でアイドル研究部を守ってきたにこ先輩からすれば、「後輩」って多分いちばん憧れた存在だったんじゃないかな、と。そりゃ穂乃果たちの徹底的なヨイショ作戦を食らった日にはほだされるわw
6話でセンターポジションにやたらこだわってたのもそのせいなのかもしれません。
表向きは一番目立てるからってことにしてそうなんだけど、やっぱりセンターって頼られるポジションだから、というのは根っこの部分にあったんじゃないでしょうか。

そこから逆算すると、先輩後輩という関係性を撤廃する試みがなされた10話で、キャラ付けのため「料理できなーい」と言いながら結局全員分の食事を作って見せたのも、少しくらい先輩らしくありたい、という気持ちの現われなのかも…?
なんだそれ可愛い。あと実は料理上手という設定が明かされたりとか、美容に人一倍気を使っている描写があったりして、今考えると10話はにこ先輩的にかなり見どころだったんじゃないかと言う気がしてきますね。

矢澤にこ、その確固たるパーソナリティーの理由ってなんだろう。

こんな具合に、本編の中でにこ先輩のパーソナリティーはきっちりかつ分かりやすく描写されているわけですが、その理由はなんだろうな、と疑問が。
そのヒントは、先日発売になった『電撃ラブライブ! 三学期』の中にありました。

キャストインタビューで二年生組が印象に残ったキャラクターに揃ってにこ先輩を挙げていたり、巻末の漫画で凛に対して素晴らしい先輩っぷりを見せつけていたりと、にこ先輩的に見どころが色々ある一冊になっております。

中でも興味深かったのは、シリーズ構成を担当された花田十輝さんへのインタビュー。
その中で、アニメ化にあたってアレンジを加えて、アイドルとしてのキャラクターを作っている設定を加えた、という話がありました。
僕はアニメから入ったニワカラブライバーなので、読んでけっこうビックリしましたが、同時に納得の行く部分も。
そうしたアレンジ要素に気を使ったからこそ、かなり丁寧に描写を積み重ねていったのかなあ、と。
もうひとつ注目すべきは、「学校が舞台の青春物語であれば、先輩というのはやはり壁であったり相談役であったりしてほしかった」という言葉でしょうか。
物語の中で、絵里と希はそれぞれ象徴的に「壁」と「相談役」の立ち位置を担っているわけですが、にこ先輩はどうでしょうか。最初は勿論「壁」として登場した訳ですが、μ's加入以降はどちらかと言えば先輩と言うよりもコメディリリーフ的な役回りが強かった印象があります。
言い換えればμ'sにすっかり馴染んでいた訳ですが、物語の終盤では明確に、主人公である穂乃果の対立軸としての立ち位置を与えられていたように思います。

終盤の展開における穂乃果の対立軸は、自らのやりたいことのためにμ'sを離れようとすることりである、ということは前回の記事で言及しました。
一方で、やりたいことを見失ってブレる穂乃果に対するのは、ブレない軸を持ち続けているにこ先輩であった、というのはテーマ的に考えるとやはり重要であると言わざるを得ません。
あの賛否両論を巻き起こした12話、ラブライブ出場をほぼ手中に収めた状態で「スクールアイドルやめる」と言い出す穂乃果に対して「ふざけんじゃないわよ」と激昂したシーン。
自分がこれまで、孤独に耐えながらも届きたいと願い続けた高みに到達する権利を、簡単に放り出そうとする穂乃果へのにこ先輩の思いは、いかほどだったでしょうか。
努力と勢い、そして頼れる仲間を味方につけてスクールアイドルの階段を駆け上がり、くすぶっていた自分自身をも引っ張りあげてくれた穂乃果が折れそうになった時。慰めるのではなく、そんなこと抜かしてんじゃねえ、と一喝するにこ先輩。
その役割を担うことが出来たのは、一度挫折を経験しそれでもスクールアイドルであることを諦めないにこ先輩だからこそ、と言えるのでは無いでしょうか。

そして13話、迷走を続ける穂乃果の前で「大好きだから」という理由を堂々と掲げ、スクールアイドルを続けると宣言する姿。
あくまでもまっすぐに自分の「好き」「やりたいこと」に向き合う姿、そしてこれまで見せてきた「アイドル」に対する強いプロ意識を思うと、にこ先輩の「覚悟」がハッキリと見える名シーンだったと思います。
背景を照らす夕陽も相まって、その姿はもはや神々しさすら感じました。
ここで、かつては人を巻き込んで失敗したであろうにこ先輩が、自ら花陽と凛に「一緒にやらない?」って言ってたのも凄くいいと思うんですよ。
穂乃果が「巻き込んだ結果迷惑かけてしまった……」という後悔に打ちひしがれているのとは対照的に、花陽と凛を巻き込むことに何の躊躇も見せて無いんですよね。
常に、迷っている穂乃果の「一歩先」を行っているんです。
それを、あえてこうしなさいと語るのではなくて、自らのあり方をもって示している。
「壁」でも「相談役」でもなくて、あえて言うならば「背中で語る」役割を担っているんですね。

めちゃくちゃカッコイイじゃないですか!!
実際13話を見ている時のTwitterとかの反応見ていると、「にこ先輩かっこいい!」という賛辞で溢れかえっておりました。
初見で絶対ネタ担当だと思ったのに、ここまで重要な役割を担うとは想像すらしてなかったよ……

あと13話で、『START:DASH!!!』のにこ先輩の担当歌唱パートが「希望に変われ」のとこだったのも凄く良いと思うんですよ。
スクールアイドルを始めるも自分以外のメンバーがいなくなり、そして穂乃果と出会って救済され、もう一度メンバーがバラバラになりかける絶望を味わったであろうにこ先輩が「希望に変われ」という言葉を歌う。
そして同時に、「希望に変われ」というワードは、「笑顔を届けたい」という自らのアイドルとしてのポリシーに深く関わるものでもあるわけです。
その言葉を果たしてどんな思いで歌っていたんだろうか、ってことを考えるとですね……。
もうね、にこ先輩が「希望に変われ」って歌うだけで、それだけで僕は救われるんだ。

No brand girls / START:DASH!!

No brand girls / START:DASH!!

……さて、そろそろ着地点がどこなのか分からなくなってきたので、いい加減にこの記事を締めたいと思いますw

ラブライブ!』はアイドルものとして、あるいは青春部活ものとして、とてもダイレクトに響いてくる作品でした。
「やりたいことは何?」というテーマも、自分自身の今抱えている問題に直結してくる話で、本当に色々考えさせられました。
僕を含めて、視聴者の多くが、この作品からポジティブなメッセージを受け取ったのではないでしょうか?
それは勿論、美しい着地を見せた物語、あるいは作画スタッフの気合いが見て取れる絵の美しさ、作品を彩る楽曲の素晴らしさ、キャラクターの魅力とそれを引き出したキャスト陣の熱演、いろいろな要素がからみ合ってのこと。

しかし、何よりも僕にとっては、矢澤にこというキャラクターが、この作品から受け取った希望に満ちたメッセージの核として、確かな存在を放っていると言っても過言ではありません。

少なくとも、にこ先輩が居たおかげで僕は笑顔を少し取り戻せたような気がします。
誰かのために遠慮するんじゃなくて自分に正直に頑張っていく、ということを随分長い間忘れていたのに気づきました。
まあ色々大変なことは勿論あるとは思うんですけど、にっこり笑顔でのんびり頑張っていこうかなーと。
がんばらねーばねーばねばぎぶあぷ。


そういえば今、μ's6thシングルセンター争奪総選挙とかやってるらしいですが、皆さんはもう誰に投票するか決めました?
ここまで読んでくれた皆さんはきっと、にこ先輩の魅力をよく理解してくれたことと思います。
そしたらもう、やることは一つですよね?

にこ先輩に投票して、どうぞ(ステマ)