8/18 宇宙よりも遠い場所

気づいたら夏休み(と言う名の休職期間)も2週間を切っている。
この間やったことといえば、積み本タワーをジリジリと崩し、動画を作り、スマホゲーの周回に精を出し……となんかいつもの休日の延長線上にあることばかりで、若干の焦りが(焦る必要特にないといえばないのだけど!)。

というわけでなんか夏休みらしいことをしよう、と思って以前から薦められていた宇宙よりも遠い場所がニコニコで全話無料だったので視聴することに。
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「四人の女子高生が南極を目指す」というなんか荒唐無稽にも思えるストーリーに、「青春する」「南極の地で行方不明になった母に会いに行く」「受験の前に何かをする」「友達と一緒に何かをする」とそれぞれの動機付けをきちんと持ち込んだ上で、ご都合主義でない現実的な手段でそれを実現しようと奮闘する様子、関係各所への細やかな取材が伺える観測隊周りの描写が、本当にきちんと構成されていて素晴らしい。
とにかく、土台部分にスキがない。
そして、その上で描かれるのは、メインキャラクター四人のみならず、周りの大人達をも巻き込んだ人間ドラマで、これがもうひどく涙腺をぶっ刺しにくるのである。
キマリの現状への鬱屈も、そこから抜け出すときの恐怖や葛藤も、それを乗り越えて成長していくたくましさも、そこに嫉妬してしまうめぐっちゃんの感情も。
結月の有名人ゆえの孤独も、形のない友情にどこか不安をいだいてしまう思いも。
日向の他人に気を使われたくないとか、己が受けた仕打ちへの謝罪を受け入れて許さないとダメなのか、という思いも。
報瀬の、絶対に南極へ行って「ざまあみろ」って言わせてやるとか、敵がいると強くなれるとかいう不器用な強さも。
吟隊長の後悔と報瀬への複雑な感情も、あるいは大人として現実と必死にあがいていたかなえさんの描かれない奮闘も。
どれもこれも、ひどくグサグサと刺さるのだ。

たぶん気づいたら泣かなかった回なんてないんじゃないだろうか。
特に11話と12話は本当に涙が枯れるほど泣いてしまった。
私自身もあまり人間関係が得意な方ではないゆえ、報瀬と日向の二人に特に感情移入しながら見ていたので、まぁ11話はダメでしたよね。
「ざまあみろ!」とか「ふざけんな!」とか、普段だったら口に出せない言葉だからこそ、効果的に使われるとグサグサと感情を刺す。
あとは12話、三年分のメールが一気に受信されるシーンはたぶんみんな泣いたんだと思うんだけど、ダメですよねあんなん。
三年間止まったままだった報瀬の時間が、ようやく動き出したことを、ようやく彼女が次に進めることを、何よりも雄弁に語るのだから。

13話の余韻を残すエンディングも良かったですよね。
四人で南極に行くと約束して、また四人で行くと約束をする。
その前に隊長がPCに残ってたメールを報瀬の携帯に送るところでもう涙腺ぶっ壊れてたんですけどね!!!アカンやろあんなん。
あと百万円の処理な!あれは報瀬にとって剣であったし同時に呪いでもあったのだと思う。それをああやって置いてこれたのは、もうなんか本当に爽やかな読後感!!!って感じで最高。
ほかにも先述のメールの話とか、観測隊の旗にかかれた似顔絵が笑顔になっているとか、そういうところの演出はたぶん、言葉で語ると野暮になってしまう部分もあって、アニメで物語を綴るという利点と武器を最大限に活かしていたと思う。挿入歌の落ちサビに入るところもタイミング完璧で「くぁー!!くやしい!!」と思わず唸っていた。

「わたしたちは、わたしたちになった」
「思い込みだけが理不尽な現実を突破し、不可能を可能にする」

まさにそういう物語だった。

無料期間は明日までだからまだ未見の人は明日視聴することを強く推奨。いやこれ今年どころかここ五年くらいで最高傑作まであるわ。