音楽の魔法を体感させてくれる、至高のバンド漫画!―高田康太郎「ハレルヤオーバードライブ!」が熱い
音楽の魔法を信じるかい?ハバネロです。
音楽の魔法、あると思います。
音楽あるとテンション上がりますもんね。
ないとテンション下がりますもんね。
551の蓬莱みたいなもんですねw
(ちなみに3月の終わりくらいにPCにいれてた音楽データ吹き飛んでおまけにウォークマンなくす、という悲劇が立て続けに起こりテンション下がりまくりなので、よくも悪くも作用するみたいです)
さてさて、そんな音楽の魔法をいま最も堪能させてくれる漫画が、今回紹介する「ハレルヤオーバードライブ!」です。
ハレルヤオーバードライブ! 1 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
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絵から響いてくる「音」の迫力
さて、音楽を扱った作品である以上、重要になってくるのはやはり「音」をどう表現するかということ。
そして特にバンドを扱うとなると、ライブのシーンをどう描くか?ということはめちゃくちゃ重要になってきます。
けいおん!!(第2期) 9 (Blu-ray 初回限定生産) [Blu-ray]
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「動く映像」と「音」の相性はちょっと凄いものがあります。
漫画という動かない「絵」によってそれを表現するとなると、やっぱりちょっとハードル上がるんですよね。
「ハレルヤ」が凄いのは、見開き大ゴマのダイナミックな絵たった一枚で、大迫力のライブシーンを読者に体感させてしまうところ。
ギターのメロディも、ベースの重低音も、ドラムのビートも、ボーカルの声も、そして観客の声援さえも。
たった見開き2ページの大ゴマに、全部全部詰まってる。
もちろんそれだけじゃなくて、演奏してるメンバーがみんなみんな一生懸命に演奏してて、しかも楽しそうなのが凄く良いのです。特にヒロイン・ハルさん。
小さな体でドラム(しかもツーバス)を全身つかって跳ねるように叩く。超カッコイイんですよ、そして超可愛いんですよ。
加えて、主人公・小雨はいまだ発展途上ながら魅力的なボーカルの才能を持っているキャラなのですが、「スイッチ」が入ってその歌声が真価を表すときの漫画的表現も非常に上手いです。そして綺麗です。
このあたりは是非読んでその目で確認して頂きたいところ。
ハレルヤオーバードライブ! 2 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
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ハレルヤオーバードライブ! 3 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
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「少年漫画」の王道を走る展開と、青春ラブコメとしての魅力
この作品は「バンドもの」としての要素だけじゃなくて、きっちり「少年漫画」としての王道を走っているところもポイント高し。
物語は主人公・小雨が卒業式の日に好きな子に告白し、玉砕するシーンから始まります。
しかもギター抱えて自作のラブソングを好きな女の子に向けて歌っているという。
なんともアイタタタタ、な訳ですが、みんな似たようなこと考えたよね!?そして実行したよね!?
そして告白のリベンジとして、軽音部に入ってバンドやりたい!というところでヒロインと出会うのが物語のスタート地点になります。
このエピソードからも分かるように、小雨は基本的にまっすぐで一生懸命なんですが、空回りしがちなキャラ。
うん、いますねこういうヤツ。
というか僕が割とこういうタイプ。
なので、小雨が馬鹿やって空回ってるとこ見るとうわあああああってなっちゃうんですが、そのうわあああああって感じがあるからこそ、青春だねえって感じがするのもまた事実。青春の甘酸っぱさ青臭さをきっちり描いてるところに好感がもてます。
で、そんなまっすぐだけどお馬鹿な主人公が少しずつ、しかし着実に成長していく過程を描いているのが非常に素晴らしい。
ギターの技術を向上させ、自分のバンドを結成し、そして初めてのライブステージに立ち……と、ひとりのバンドマンとして成長していくとともに、精神面もどんどん成長していってます。
ハレルヤオーバードライブ! 4 (ゲッサン少年サンデーコミックス)
- 作者: 高田康太郎
- 出版社/メーカー: 小学館
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今まで空回りがちだった主人公が、物語をぐぐっと引っ張る側へと変わろうとしている段階に来ていて、今後の展開ではさらに「化ける」かもしれない可能性を思わせます。
そんな小雨の成長の原動力は、想い人であり先輩であるヒロイン・ハルさんの存在。
ボーカルの才能が開花しつつあるのも、バンドマンとして人としてぐいぐい成長しているのも、全ては恋のため。
そりゃ好きな人の前ではいいトコ見せたいですもんね!
青春ですね!……おいちゃん眩しくてみてらんないぜ……
そんな小雨→ハルさんへの片思いを中心に、個性派ぞろいのキャラクターが織り成す部活内の恋愛模様の行方がどうなる?というのも気になるポイントのひとつ。
ガサツで毒舌なベース担当のタンポポ先輩が部長に一生懸命片思いしてるのとかもう可愛くてですね……
単純に片思いの連鎖によるラブコメってだけじゃなくて、「バンド内の恋愛の難しさ」というテーマも絡められており、そういう意味でも今後の展開から目が離せません。
「けいおん!」の系譜、「BECK」の系譜、その両方を受け継いで。
さてさて、軽音部といえばやっぱり「けいおん!」が出てきますよね。
- 作者: かきふらい
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僕以外にもたくさんの人の心をがっちりと掴んで感動を与えてくれた「けいおん!」ですが、同時にいくつかの批判的な意見もありました。
曰く、「普段練習してないくせにあんな演奏できるのおかしい」だとか「成長も何も無い、中身のない話だ」とか。
前者については「だからこそひとつのファンタジーとして成立するんだよ!」っていうのが、後者に対しては「お前は何を言っているんだ」が僕の意見ですが。
それはさておきキャラ萌えを押し出している以上、無いものがあるのは当然っちゃあ当然で。
恋愛要素だとか、ライバルの存在とかはけいおんの世界では一切描かれませんでした。
キャラクターの魅力に加えて、「音楽があって、仲間がいて、それってサイコー!!」っていうテーマをきっちりと描き出すために、ある種意図的にそういったリアルな、ともすれば「生々しさ」を感じさせる要素を排除しているのだと思います。
「ハレルヤオーバードライブ!」では、キャラクター造形についてはボクっ娘、巨乳メガネっ娘、お嬢様などなどの記号的要素が見られます。
そしてヒロインみんなメッチャクチャ可愛いです。けいおんのコたちに負けないくらいに。
しかし、記号的なキャラクターを配しながらも、物語の展開自体は「BECK」のように、主人公が音楽に出逢い、成長していく姿とバンドの軌跡を並行して描いていくことに重点が置かれています。*2
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「ハレルヤオーバードライブ!」が「けいおん!」的なキャラクターの魅力と、「BECK」的なある種リアルなバンドを描き出す作品との合流地点のような形になっているのは偶然なのか意図的なのかは分かりませんが、ちょっと面白いな、と。
しかしながら、いずれの作品についても「音楽の、バンド活動の楽しさ」を描くというところはぶれない軸として存在しています。
その軸に加えて、「けいおん」の持つファンタジックなキャラクターの魅力と、「BECK」の持つリアルなストーリーの魅力、双方を兼ね備える「ハレルヤオーバードライブ!」が、これからも「音楽の魔法」を僕達に信じさせてくれることを期待していきたいと思います。