7/9 メンタルと君主論がぐちゃぐちゃ

久しぶりに日記とかつけることにした。
理由は簡単、先日読んだ三浦しをんの日記エッセイがべらぼうにおもしろかったからであり、自分もこういうのを書いてみるとなにがしか文章力にプラスになるかもしれないという目論見である。

ビロウな話で恐縮です日記 (新潮文庫)

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こういうのに影響されやすいことからわかるように僕はミーハーである。沼にハマりやすいのでもはや沼に住んでいるも同然で、ドジョウか何かみたいになっている。

今日は休日であった。色々なものを犠牲にし、会社の連絡先を着信拒否に突っ込むことで得た休日であった。その経緯については後述するが、したがって出かけることにした。
目的は同人誌を買い漁ることと、先日公開されたMS合作の作業が佳境に入っていた関係で見逃していた映画『ハン・ソロ』を観に行くことである。
同人誌狩りの方はまあまあの戦果。一番欲しかったあかめ先生の百合子本は店頭で発見できなかったが、五十嵐響子ちゃんの薄い本をいくつかと、ロゴの作り方に関するデザイン系のものを二冊購入。後者はいつか役に立ってくれると良いと思う。

さて、本日のメインテーマだったハン・ソロだが、なかなかの出来だった。
個人的にはやはりチューバッカとハンの二人がミレニアム・ファルコンの座席に並んで座るシーンが印象的。そこでメインテーマを鳴らすのは大変にずるい。一方で、ここまでの行程で完全にチューバッカがヒロインに見えている僕の脳内では、ホイットニー・ヒューストンが高らかに「えんだあああああああああいやあああああああ」と熱唱していた。いやマジでハンがチューバッカというバディと出会う物語だからこれ。
……というのはまあ冗談としても、中身としてはコソ泥のクソガキが酸いも甘いも経験してハン・ソロという「一人の男」になる過程がきっちりと書かれていて大変よかった。
ただ個人的には、ランド・カルリジアンの相棒であるアンドロイドL3の精神はどこかにちゃんと残してほしかったという思いがないでもない。「スタートレックX ネメシス」のデータとB4とかみたいにさぁ。僕はそういうのに弱いのである。

あと女は怖い。そして予想もしないあいつがでてきてビックリした。続くんかこれ。もしかして続くんかこれ……?そして繰り返しになるが女は怖い。


そんなこんなでMS合作公開、その反動による惰眠、映画とショッピングという志向のおひとりさまホリデー3Daysだったわけだが、こんなにのんびりしたのはずいぶんと久しぶりだった。
というのも、仕事が大変激務を極めていたからである。正確に言うと今もまさに繁忙期なのだが、ついにメンタルをやってしまったらしくお休みをもぎ取ったのである。

今年の3月下旬から部署が変わったのだが、どうも隣の席に座っているアラフィフのおっさんと私の相性が壊滅的に悪い。僕は「終わりよければすべてよし」を座右とする大雑把の国からやってきた人間なのだが、隣席のおっさん氏はさながら小姑がおっさんの皮をかぶっているかのごとくにねちっこく、僕が最も嫌う「ミスを後出しでねちねち指摘してくる」たぐいの人間であった。後出しジャンケンがかっこいいのはブリーチの世界だけだとジャンプで学ばなかったのかお前は。

そもそもうちの職場はどうにもブラックの色が濃く、業種上仕方ない面もあるが帰りはてっぺん回る近くになるのは当たり前(その分午後出社なのはありがたい面もあるが)、定刻より早く出社して会議やる日もシフト表に刻まれるのは判で押したように勤務時間7.5hだし、夏場のクソ繁忙期は朝9時から夜11時まで働かされることもあり、それなのにいつでもお給料は据え置きである。
僕はまだ週に2日の休みをもらえているから良いが、上の人間は週休1日で働き詰めであり(これでも違法でないというのが恐ろしい)、また毎月第一週に発生する日曜出勤のぶんの休日をきちんと補填してもらったことは殆ど無い。
クソな職場環境は一定しかたないと捉える向きもあろう。しかし私はそれ以外に大事なものを奪われまくっていた。五歳の頃から推し球団だった阪神タイガースの試合とか、アイマスのラジオとかニコ生とか、私が信仰を捧げる天使であるところの伊藤美来さんの出てるニコ生とかそういうものが一切合切リアルタイムで見れなくなった。
おまけに土曜が休めないのでライブも行きにくくなったし、一度など現地参戦が決まっていたライブを泣く泣く諦めた。
更に言うと正月仕事だったおかげで実家で買ってたワンコの最期を看取れなかったし、生活リズムが合わなかったおかげでいい感じになってた女の子にも振られた。

もう僕のメンタルはぐちゃぐちゃである。
5月の末に体調がめちゃくちゃになり、誰とも話したくなくて引きこもっていたら会社の人間が警察を連れて乗り込んできて死ぬほどびびった。
先週も体調が悪く、今回はきちんと休む旨を連絡したら管理がなっていないと怒られた。無理だわそんなん。
先日いよいよ限界を感じて前お世話になっていた心療内科に電話したら、次に診察ができるのは二週間後だとおっしゃる。
もう死ぬと思った。ならばちょうど台風が来ているので水害に巻かれて死ぬがよかろうと思い、台風の中チャリに乗って飛び出した。せめて最期に実家に挨拶して帰ろうと思ったが、よもや会社の連中が実家にまで触手を延ばしていないとも限らないという不安が脳裏をよぎり実家をスルーした。都合30kmぐらい走ってついにとある駅で立ち往生したので、母上に連絡して迎えに来てもらった。滅茶苦茶怒られた。

翌日仕事の予定だったのでとりあえず家に戻ったが、飯を食って着替えて出社しようとしたら吐き気と嫌な汗が止まらなくなり、なんとも情けないが母上に頼んで休む旨を会社に伝えてもらうことになった。
果たして母上がどんな手練手管をつかったのか知らないが僕は3日間の休みを手に入れ、MS合作の公開にリアルタイムで立ち会えることになった。とても楽しかった。久々に、本当に心の底から楽しかった。

なお、台風の日の逃避行の際、カバンの中に入れっぱなしにしていた君主論は染み込んできた雨でぐちゃぐちゃになった。有栖川夏葉にあこがれて買ったきり読みかけになっていたのだが、どうしたらいいか今も困っている。

今日も映画を見た後、会社の人間が家の前で張っていたりしないかビクビクしながら帰ってきた。
折しも病院の看護師が患者を看取るのが精神的に辛くて20人ほど殺した、という事件がニュースになっていたが、今の僕は彼女の気持ちがほんの少し理解できる。
たぶん、苦痛から逃れる方法が手のうちにあったとしたら、使ってしまうだろうな、と。
かく言う僕も、自分が喫煙者だったなら、今頃は普段常用しているライターで会社を燃やしていたと思う。そうならなかったのは何のプラスにもならないあんな煙よりも、フィクションの方を愛好する人間だったからであり、会社の人間(と呼ぶもおぞましい化け物たち)は僕がオタクであったことに感謝してほしいと思う。