まどかは何故巨大な力を持つ魔法少女となり得るのか? −ヒーローものの視点からみるまどか☆マギカのおはなし・その2

アイマス2に夢中でブログほったらかしでした。ハバネロです。

アイドルマスター2

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いや、ホントに面白いのよアイマス2。ゲームとしての面白さはシリーズで一番かもしれません。
そしてなにより真が可愛い!!
……とか言い出すと本題に辿りつくまでに凄まじい回り道を辿る羽目になりそうなのでここらで自制しておきます。
でもホントに真可愛いんだって。


さてさて、今回も「魔法少女まどか☆マギカ」に関するちょっとした考察です。
第八話まで話が進んで、1クール作品としては四分の三が終わった計算になるわけですが。
いやあ、まどか変身しないね!契約しないね!
そしてQBさんの外道っぷりもとどまることを知らないですね!

八話で蜂の巣になったときは思わず「ざまあwww」ってリアルに口走ったんですが。それでも死なないとかちょっと……
でもスペースほむらさんはさすがだったと思います。


さて、そんなクサレ外道QBさん、ついにまどかと契約する一歩手前まで行ったわけですが。
最初の頃からQBさんは、「まどかには魔法少女の素質がある」「すごい力が手に入るよ」って言葉をエサに、自らの無力に悩むまどかを一本釣りしようとしてますよね。
その魔法少女の素質ってのはなんなのか?という疑問が沸いてでたので、それに関する考察を少しばかり。

他の魔法少女は、なぜ「素質」を持たないか。

というわけで、まどかの持つ「素質」を解き明かすために、まずひとつ、他の魔法少女はなぜ「素質」を持つに至らなかったのか?というところを考えてみたいと思います。


まずは僕らのヒーロー兼僕らのトラウマ・マミさん。
わずか3話の活躍でありながらも、その戦闘力はハイレベルなものであり、人間的にも概ね出来た人であったマミさんですが、彼女の唯一にして最大とも言える弱点が「孤独」でした。
ひとり孤独に戦い続けてきたマミさんが、まどか・さやかと出会い、「もう何も怖くない」となった結果どうなったかはまあ皆様よくご存知のことだと思います。
おそらくマミさんは、ひとり孤独に戦う中で、「誰かに自分の行いを認めてもらいたい」という願いが芽生えて行ったのだと思います。
まどかとの出会いによって、それがかなえられてしまったからこそ浮き足立ち、あのような結末を迎えるに至ったわけですが……
ここで、シナリオとしては「孤独と、それによる満たされない自己承認欲求を持つものは魔法少女の素質を持ち得ない」ということを示している、という読み方が可能かと思います。


続いて現在進行形でエラいことになってるさやか。
彼女は、魔法少女になってからは魔法少女としても人間としても「弱い」キャラクターとして描写されているように感じます。
杏子の言葉を借りれば、経験の浅い「ルーキー」であることがひとつその原因なのでしょうが、もっと根源的な理由は、その「願い」と心の在り方なのではないかと。
さやかの願いは、「上条くんの腕を治す」ことでした。
自分のためではなく、他人のために一度きりの奇跡を使ったわけです。
さらに言えば、魔法少女としての在り方も「魔女の犠牲を出さないため」。
つねに自分の外側にある「他の誰か」の中に自らの動く「理由」を置いているキャラクターなのです。
それがいかに危険で不安定なことか、ということはマミさんも杏子も作中で何度か口にしていました。
実際、奇跡を起こして腕を治してあげた上条くんは、自らが魔法少女窮地を救った友人である仁美に奪われるかっこうとなりました(確定じゃない可能性もありますが)。
そして友人であるまどかや、先輩である杏子がさやかの身を案じてかけた言葉も効果を持たず、悲劇的な結末をたどることになるようです。
さらにここでひとつ、「自分の外側に依存するものは、魔法少女としての素質を持ちえない」という事実が提示されます。


さて、残る二人、杏子とほむらについてはどうでしょうか。
戦闘シーンを見る限り、双方ともかなりの実力者であり、マミさんやさやかのような「脆さ」はあまりなさそうです。
ゆえに魔法少女としてのポテンシャルは高いほうだと思われます。
その理由は、二人ともが確たるポリシーを持ち合わせているからなのだと思います。
杏子の場合は、かつてはさやかのように「家族を救う」ために奇跡を行使することを選択しましたが、それが失敗に終わったことで自らの欲望に忠実たることを決め、それを遂行しています。

ほむほむの場合は、まだ推測の域を出ませんが、おそらくは何度もループを繰り返している身であり、「ワルプルギスの夜」による世界の崩壊(あるいはそれに近い破壊的な事象)をなんども経験し、その阻止と、キーパーソンであろうまどかを守る、という目的のために行動していることが伺えます。
(第八話で、ワルプルギスの夜が発生するポイントを「統計」によって導き出していること、QBを殺すのが「二回目」であるということ、時間操作の魔法を使うことなどのデータが揃ったことで、ループ説はいよいよもって濃厚になってきました)


しかし、この二人にもおそらくまどかの持つ「素質」は存在しないと思われます。
杏子は、奇跡を家族のために行使したことの後悔から今の生き方をするようになったこと、加えてかつての自分と同じ道をたどろうとするさやかを放っておけず手を伸ばしたことなど、過去の自分に対する後悔が垣間見えるキャラクターです。
そしてほむほむは、今までの行動が示すように「まどかを守ること」「滅びを回避すること」に固執しているキャラクターです。八話の泣き顔を見せたシーンに、その思いの深さはよく表れているのではないでしょうか。
おそらく、このような過去への悔恨、あるいは固執といった感情こそが、彼女たちにまどかほどの「素質」がないことの一端のような気がしてなりません。

ただ純粋に「力」を望むからこそ、まどかは素質がある。

さて、それじゃあまどかの持つ素質とはなんなのでしょうか。
結論から言うと、まどかは自分の持つ「なにもない、なにもできない」という感情を埋めるために純粋に「魔法少女としての力」を望んでいることが「素質」なのではないかと思います。
QBやマミさんと出会い、魔法少女というものがあることを知らされたまどかが、最初に魔法少女になる理由としてあげたのは「自分には何も無いから魔法少女になってもいい」でした。
それはいつしか、「マミさんの孤独を埋めるために魔法少女になってもいい」となり、八話では「さやかを助けるために魔法少女になってもいい」という旨の発言をし、契約一歩手前まで行きました。

さやかや過去の杏子のように「誰かのために奇跡を願う」のではなくて、「誰かのために魔法少女という存在になり、力を得ることを願う」というのは圧倒的にふたりと異なるポイントです。
あくまでメインは「奇跡」であり「魔法少女になる」ということは副産物でしかない、と考える他のキャラクターとは違い、まどかの目線はつねに「魔法少女」という力に向いている訳です。
戦うための生ける屍と化すことが明らかになっているにも関わらず、「奇跡」よりも「魔法少女になる」ことを選ぼうとしている。
これは魔法少女というシステムの仕様と密接に関わってくる部分だと考えられます。
「癒しの祈り」を願ったさやかは、その効果により他の魔法少女よりも怪我が簡単に治る力を手に入れました。
このことから考えると、「力」を願って魔法少女となったまどかの持つパワーは、おそらく莫大なものになることが予想されます。
QBの言葉を借りれば「世界の法則をねじ曲げてしまえる」ほどに。


さて、「友達のために人間やめる覚悟があり、巨大な力を行使する可能性がある」という設定を見てると、平成ライダー好きとしてはある作品の主人公を思い出してならないわけなんですが……

仮面ライダー剣 (ブレイド)VOL.1 [DVD]

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仮面ライダー剣」の主人公・剣崎一真です。
「剣」では「アンデッド」という怪人のなかに「ジョーカー」というラスボス的存在がいるのですが、ジョーカーは仮面ライダーのひとりである相川始の中に封印されてる、という設定になってます(正確には違いますが、まあそのへんは本編を見ていただくってことで)。
そしてそのジョーカーの封印が解放されると世界が終わることになるのですが、それを阻止するために友人である始を手にかけることは出来ない、と思い悩んだ剣崎のとった行動は、「自分自身もジョーカーとなる」ことでした。ジョーカーが複数いればシステムのバグみたいなものが発生して、世界の滅びを回避できることがわかったからです。
そのジョーカーとなる方法は、最強フォームである「キングフォーム」に変身して戦いまくること。このキングフォーム、劇中ほぼ負けなしというめちゃくちゃな強さです。
そうして戦い続けた結果、剣崎の目的は見事に達成され、彼はジョーカーとなり皆の前から姿を消しました。


前に語った平成ライダーとの関連性を思うと、これからまどかがたどる道筋はそれに近いものになるのではないかなあ、っていう気がしてならんのですが……
参考:これはきっと、少女が覚悟を決めて立つまでの物語。―ヒーローものの視点から見るまどか☆マギカのおはなし - シャングリラ激辛紀行
そもそも剣崎が仮面ライダーになった理由も、火事で両親を亡くして無力感に苛まれたことであると劇中で示されています。
人を助けたい、誰かの役に立ちたいという思いが根源にあるキャラクターとしてはまどかの立ち位置と似通っています。
戦い続けてジョーカー化する、というのも、魔法少女が戦い続けた結果魔女となる、という設定に共通する部分が……
……どうしよう、なんかロクでもない結末しか予測できなくなってきたぞ!?

孵卵器<インキュベーター>としてのQBさんの目的とは。

それと合わせて考えると、「インキュベーター」ことQBさんの目的もある程度読めてくるんじゃないかな、と思うのですが。
インキュベーターとは「孵卵器」のことです。
おそらくその目的は、「強い力を持つ魔女を産み出すこと」と思って間違いないでしょう。
穢れを溜め込んだグリーフシードをエサとしているQBにとっては、強い力を持つ魔女の落とすグリーフシードは、多くの穢れを溜め込めるものすごく美味しい食料なのではないかと考えられます。
こう考えてみるとホントどこまでも自分のことしか考えてない外道なんだなQB……

まあ、それは置いといて、おそらく巨大な力を持つことになるまどかにしきりに「魔法少女になってよ!」って言ってるのはそのへんが理由なんだろうな、と。
魔法少女が魔女となる、というシステムは明らかにされたものの、その力や在り方が魔女化したときにどのくらい受け継がれるのかは謎ですが、最大限反映されるのだと考えてみるとQBの行動の理由もある程度納得が行くような気がします。

そのQBの目的を阻止するために、まどかはいかなる覚悟を持って挑み、いかなる犠牲を払うのか、というのがクライマックスに向けた展開のキモになってくると思います。
しかし一方で、QBはまどかに巨大な力を与えて尚、自らの目的を遂行できる自信めいたものを覗かせているのがめっちゃくちゃ怖いんですがw


まあいずれにしたところで視聴者たる我々はどうなるのやべえよやべえよ……って思いながらテレビの前でドキドキする以外に手は無いわけでw
それもまたまどか☆マギカの楽しいところではあるんですけども。


−そう、ただ祈るのみ。覚悟を持って巨大な力を手に入れた少女が、吐き気をもよおす邪悪を打ち砕く、その瞬間に到るまで。


あと杏子死なないでマジで。死んだら凹んじゃう。