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これはきっと、少女が覚悟を決めて立つまでの物語。―ヒーローものの視点から見るまどか☆マギカのおはなし

アニメ 魔法少女まどか☆マギカ

ほむほむのほむほむをほむほむするのもいいですが、僕は杏子とポッキーゲームしたい。
ハバネロです。


今期アニメ最大の話題作といえばなんといっても魔法少女まどか☆マギカ
僕の今期アニメの視聴リストはまどマギ(いろんな略称がありますが、僕はこう略します)を軸にしつつ、ギャグが楽しい「これはゾンビですか?」とシャル可愛いよシャル!な「IS<インフィニット・ストラトス>」が両輪をなす感じです。

さて、まどマギ最大の魅力は、予測のつかないストーリー展開にあることは皆様ご承知の通りかと思います。
まさか三話でマミさんがあんなことに!とか、ソウルジェムにあんな秘密が!!とか。びっくりですよね。
個人的にいえばもうどんな展開が来てもビックリしない。もう何も怖くない(フラグ)
あとは主人公のはずのまどかはいつ契約して変身するの!?っていうのもわくわくしながら見れるポイントですよね。
はじめに結論から言ってしまうと、僕は最後の最後まで契約しないんじゃないかな?と思います。
なぜならば、まどか☆マギカの真髄は、容赦のない展開でも予測のつかないジェットコースター感でもなくて、か弱い少女が覚悟を決めて立つまでの過程を描くことにあるのではないか、と考えているから。
今回は、その話を、主にまどマギの持つヒーローもの的な要素、というか「平成仮面ライダー」的な要素との関連性から語っていきます。

仮面ライダー龍騎」と「まどか☆マギカ」。

まどマギ放送当初から言われているのが、特に「仮面ライダー龍騎」との関連性ですね。

仮面ライダー 龍騎 Vol.1 [DVD]

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この仮面ライダー龍騎は、13人の仮面ライダーが自分の願いを叶えるために壮絶な殺し合いをする、といういわば「Fate/stay night」の「聖杯戦争」的な筋立てで話が進みます。
戦いに参加し、仮面ライダーとなるためにはモンスターと「契約」する必要があり、また戦いは鏡の中の世界である「ミラーワールド」で行われるという設定。
戦いに勝ち抜かないと願いが叶わない、という相違点こそありますが、まどマギとの類似はあちこちに見て取れます。

・人外の存在(キュウべえ)と契約して仮面ライダー魔法少女)として願いのために戦わねばならない
・戦いを降りることは許されず、また死の危険と常に隣り合わせ
・鏡が重要なモチーフであり、キーワード

この3つにだいたいは集約されるでしょうか。


加えて、メインキャラクターの立ち位置も非常に龍騎チック。
・「願いのための戦い」というシステムに異をとなえる主人公
(まどかと城戸真司=龍騎
・想いを寄せるひとのために戦いに身を投じるキャラクター。どっちもイメージカラー青で武器が剣。
(さやかと秋山蓮=ナイト)
・死の運命からの解放を願ったキャラクターは結局死ぬ。どっちも銃を使うキャラ。(マミさんと北岡秀一=ゾルダ)
・バトルロイヤルを加速させる好戦的なキャラクターと、そのキャラの「食べること」との関連性
(杏子と浅倉威=王蛇)
・黄色がイメージカラーなキャラクターは序盤で死亡(マミさんごめんなさい)
(マミさんとシザース

これだけまあ分かりやすく要素をちりばめられれば、感づく人はそりゃ感づきますわ。

そしてこんな動画が作られる。

しかも、この龍騎そのものもあまり素直にハッピーエンドと言えるような終わり方ではなかったこともあって、「脚本・虚淵玄」の名前と合わせて欝エンドを予測させる原因になってるような気がします。

随所に見られる平成ライダーの片鱗。

まどマギの平成仮面ライダー的要素は龍騎だけに限らず、他の作品由来のものもちらほら。

まずほむほむの立ち位置ですが、イレギュラーで立ち位置がよく分からなくて、主人公に対してツンデレ気味……というと、まず思い出したのが仮面ライダー電王」の桜井侑斗こと仮面ライダーゼロノス

仮面ライダー電王 VOL.1 [DVD]

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中盤からいきなり現れる素性不明の青年で、主人公に対してさんざん色々文句垂れながらも共闘したりする、という二号ライダーの立ち位置にあるキャラクターです。その正体はあっと驚く……だったのですがこれ以上はネタバレなので伏せますw 
似たようなのだと「仮面ライダーディケイド」の海東大樹=仮面ライダーディエンドもそうですね。

仮面ライダーディケイド VOL.1 [DVD]

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ここでディケイドの話をしたのでついでに言っておくと、第一話の冒頭で「世界の終末」を示唆する、という手法もまどマギとディケイドに共通のもの。
六話でほむほむが口にしたワルプルギスの夜はディケイドにおける「ライダー大戦」のような「世界の終末」を匂わせるキーワードともとれます。

また、ソウルジェム同様変身システムに秘密が隠されているのも仮面ライダーにおけるある種定番ですね。
「カブト」だと暴走スイッチが仕込まれてたりとか、「電王」だと変身するたびに人々の記憶から失われていって存在が消滅するとか。


いままでは過去作の話をしてきましたが、現在放送中の「仮面ライダーオーズ」とも似通っている部分はあります。主にセリフ回しなんですが。

仮面ライダーOOO(オーズ) VOL.1【DVD】

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たとえば五話で、使い魔を討とうとするさやかに対して放った杏子のセリフ。

「4、5人ばかり食って魔女になるまで待てっての」

あなたどこのアンクさんですか、って思った人はオーズ好きですw
仮面ライダーオーズにおける敵怪人はメダルで出来ていて、主人公と組んでる怪人・アンクは自分の復活のためにメダルを集めるという目的があります。
そして、敵怪人は人間の欲望を吸って成長し、身体を構成するメダルを増やしていきます。なのでメダル集めるためにはしばらく泳がせないとダメなのです。
しかし放置しとくと周りに被害が出る、というリスクもあります。まさにグリーフシード手に入れるために使い魔泳がせるのと同じですね。

直近だと、六話でまどかのお母さんが放ったセリフ。

「なら間違えればいいさ。正しすぎるその子の分まで誰かが間違えてあげればいい。ずるい嘘をついたり、怖いものから逃げ出したり、でもそれがあとになってみたら正解だったって分かることがある」

そしてその三日後にオーズを見てたらこんなセリフが。

「道を間違えたら他人が教えてくれる。だから自分の信じる道を進め」

……さすがにこれは偶然の一致だよね!?

ヒーローものの盛り上がりは「覚悟」=「変身」にこそあり。

これだけ平成仮面ライダーっぽい要素をちりばめた「まどか☆マギカ」、その行き着くところはどこなのでしょうか?
それを読み解くキーポイントは、「平成ライダーで燃えるポイントは果たしてどこなのか?」ということと、「まどかがまだ契約も変身もしていない」ということではないかと思います。

平成ライダー、ひいては変身ヒーローにおける最も燃える展開とは果たしてなんでしょうか。
それはやはり、「覚悟を決める瞬間」であると僕は思います。
展開に翻弄されるまま戦ってきた主人公が、戦いに臨む覚悟を決める瞬間。
あるいは強敵を前にして、不退転の覚悟を決める瞬間。
覚悟を決めたヒーローの姿は、何よりもカッコいいものです。


そして、平成ライダーにおいてその「覚悟」の象徴として扱われるのは、「変身」です。
ふたつほど「覚悟」のパターンをあげましたが、前者の場合は物語の序盤で「変身すること、戦うこと」の意味を問う展開のなかで、「ヒーローになること=変身」という概念を効果的に用いて表現されることが多いです。
後者の場合は、今まで戦ってきた敵とはケタ違いの強敵を前に、「パワーアップ変身」というかたちで表現されるもの。
いずれにせよ、変身とは戦いに向ける覚悟を象徴するものです。


さて、現時点でまどマギにおいて、主人公であるまどかは「変身」をしていません。
序盤ではその一歩手前まで行きましたが、「自分には何も無いから魔法少女になってもいい」or「マミさんの友人として魔法少女になりたい」という動機は、マミさんがマミられたことによって大きく揺らぎます。
そして現状、戦いに身を投じるさやかを案じ、魔法少女というシステムに疑問を抱いていたところに、ソウルジェムに隠された秘密が明らかとなり、まどかの「契約=変身」に対する意志は揺らいでいます。
ほむほむが阻止してる、ってのもありますが。


しかし、おそらく虚淵玄はまどかに対してこれからも、今まで同様、あるいは今まで以上に過酷な現実を突きつけていくことと思います。
それは鬱展開なのかもしれませんが、同時にまどかの「契約=変身」を盛り上げるためのスパイスでしかないのではないでしょうか。
過酷な現実を付きつけられても尚、揺るがない変身=QBとの契約に対する覚悟が出来た瞬間に、惑う少女はひとりのヒーローとして立つことになるでしょう。
そして、突きつけられる現実が過酷であればあるほど尚、その「覚悟」は輝きを放つことになるはずです。
すなわち、まどかが覚悟を決めて、魔法少女として立つ瞬間こそが「まどか☆マギカ」のカタルシスが爆発する瞬間であり、クライマックスになりえます。
それなら、主人公がいつまでたっても変身しないのも、毎週毎週急展開&鬱展開で心臓に悪くても、もう何も怖くない。

そんなわけで、僕はまどかが変身=契約に到るまでのプロセスをどう描いていくか、ということが「まどか☆マギカ」の骨子であり、丁寧に積み上げたものが「その瞬間」にどう爆発するか?ってことが一番の期待ポイントなんじゃないか、と思います。
もちろん、先の読めない手に汗握る展開も毎回楽しんでますし、キャラクターの可愛さも凄く魅力的です。杏子に罵られたい。

でも、あっちこっちに平成仮面ライダーのモチーフをちりばめて、虚淵玄が描こうとしているのはやはりそういうことなんじゃないかな?と。


―そう、きっとこれは、どこにでもいるような少女がひとりの「ヒーロー」として、覚悟を決めて立つまでの物語。